添い寝
どれぐらい眠っていただろう……すっかり体の違和感は消え、スッキリとした気分で目を開けると、隣でフィースタがすぅすぅと寝息を立てていた。
どうやら彼女もお香の甘い香りに眠気を誘われたらしいな。
「んぅ………はっ!?あ、あのっここ、これはその……。」
俺が体を起こすと、隣で寝息を立てていたフィースタも目を覚まし、顔を真っ赤にしながら必死に今の状況を言い訳しようと慌て始めた。
「フィースタも眠くなったんだろ?大好きな香りって言ってたし、仕方ないさ。」
「はぅぁ……お世話をしてあげようと思った手前、面目ないです。」
「いやいや、十分お世話してもらったさ。おかげこの通り完全回復だ。」
あんなに酷かった頭痛も、体の怠さも消えた。それだけじゃない、体の調子がすこぶる良い。きっとこれもお香の効果なんだろう。
「さてさて、今は何時かな……。」
部屋のカーテンを開けてみると、俺の予想に反して外は真っ暗だった。
「あれ……夜?」
俺とカリンが帰ってきたのはお昼前だ。予想では夕方ぐらいだとてっきり思っていたのだが……。
「あなた様の最大魔力量はとても多かったようですので、お香を使っても完全回復するのに時間がかかってしまったんです。それに加えて、あの大陸から帰ってきた後は魔力の回復を阻害する空気が肺の中に溜まっていますから……なかなか回復が進まなかったのでしょう。」
「そういうことか。……しまったな、ドーナ達にひと声かけておくんだった。」
「その点はご安心ください。お仲間の方々には、私から伝えておきましたよ。」
俺の心配は杞憂に終わった。フィースタはそこまでしっかりカバーしてくれていたらしい。
「何から何まで助かるよ。」
「いえいえ、回復に時間がかかるのはわかっていましたから……。」
一安心したところで、俺はカリンの様子が気になった。
「そういえば、カリンの様子については何か知ってるか?」
「さっきユリちゃんが人間の男の子と一緒に寝てる……と私の所に駆け込んで来ましたよ。カリン様はあなた様以上に魔力量がとんでもないですから、恐らく明日までは目を覚まさないかと。」
「そうか。」
あの少年もカリンの予想では、明日まで目を覚まさないと言っていたな。カリンが起きるのが先か、はたまた少年が起きるのが先になるか……一応対応できるように明日は早めにカリンの屋敷を訪ねてみよう。
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