廊下は走らない
宴会については、しっかりとシンに話をつけて俺はメイドのレイラに再び部屋まで案内してもらっていた。
部屋への道を歩いていると、向こう側からドーナ達が歩いてきているのが見えた。
「あっ!!お兄さんだ!!」
廊下の奥から小走りでシアがこちらへ向かって走ってきた。
一瞬身構えたが、以前のようにステータスを制御することができずに、殺人クラスの突進をすることはなかった。
そして俺のもとへたどり着くと、ぎゅっと腰に腕を回して抱きついてきた。
「えへへぇ~捕まえた!!」
グリグリと頭を押し付けてくる。
そんなシアの頭を撫でているとドーナ達もこちらへ向かってきた。
「シア、廊下は走ったら危ないんだから気を付けるんだよ?」
そうドーナがシアに言い聞かせたが……その横でクスクスとランが笑う。
「ドーナ、あなたが言ってもあんまり説得力ないわよ?」
まぁ確かにな、ドーナはギルドの扉を突っ走りながら蹴破ったりしてた実績がある。
「う、うるさいねぇ。」
「ふふっ、でも~ホントのことじゃない?」
ランがドーナをからかっている光景を見ながら、俺からもシアに言っておく。
「いいかいシア、ここで走ってメイドさん達にぶつかったら危ないだろ?だからこういう廊下とか家の中ではなるべく走らないようにな?」
「うん、ごめんなさい。」
しゅん…としてしまったシアの頭にポンと手を置いた。
「落ち込まなくていい、次やらないようにすればいいんだ。」
「うん、シア気を付ける!!」
「それでいい。」
同じ事を二回やらなければそれでいい。俺はそう思う。
だって一度目は誰だってやってしまうものだ。なぜなら知らないから……。
そして一度目を経験しているからこそ、二度目をやらないように自分で意識することができる。
だから一度目の失敗をしたときに過度に怒るのは、あまりよろしくないと思う。
初めて失敗をした時にすごい怒鳴られたら、誰だって精神的に参ってしまうからな。
失敗は成功のもと…って言葉もあるぐらいだ。失敗して学んでいけばいい。
「ほら、ランもあまりドーナをいじるんじゃない。」
シアと話している横で、ずっとドーナをいじっていたランを止める。
「ふふっ、ごめんね〜面白かったからついつい。」
「何も言えなかった自分が恥ずかしくなったよ……全く。」
ペロッと舌を出しながら謝るランを、少し涙目で睨み付けるドーナ。
これはあとが怖いな…ランがやらかした時に盛大にドーナが反撃しそうだ。
うぅ~と唸りながらランを睨みつけるドーナを見てそう思うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます