スキルへの対応
背中から叩きつけられた女性の獣人族は、すぐさま体勢を立て直しキッとこちらを睨み付けてくる。
「まるでこちらの技を完全に理解したような動きだな。」
「俺もスキルをうまく扱っただけさ。」
とんとんと、目を指さしながらそう答えると獣人族の女性は嫌悪感を顔いっぱいに表しながら舌打ちをした。
「チッ、鑑定持ちか
自分の身体をぎゅっと抱き締め俺を変態呼ばわりしてきた。鑑定というスキルを持っているだけで変態呼ばわりとは……。
「心外だな、俺もうまいこと自分の持っているスキルを活用しただけだ。」
「ふん!!変態の言葉など聞かん。」
音を聞くためにある大きな猫のような耳をぺたんと閉じ、こちらの言葉に聞く耳を持ってくれない。
(さて、次はこっちから仕掛けるか。)
そしてこちらから攻撃を仕掛けるべくとタイミングを窺っていると、突然彼女の耳が激しくピコピコと動き始めたと思えば、次の瞬間には彼女は大きなため息をついた。
「はぁ、わかりました。」
なにやら独り言のようなものをボソッと呟くと、先程までこちらに向けられていた殺気を急に解いた。
「貴様という変態をこの場で始末できないのは大変心苦しいが、上からの命令には従わねばな。」
「……?」
(上からの命令?この獣人族よりもさらに上の存在がいるのか?だとしたら不味いな、見込みが甘すぎたかもしれない。)
「次会うときは確実に息の根を止める。それまで精々短い余生を堪能しておけ。」
と、言うだけ言って彼女は姿を消した。
警戒を解き二人がいる方向に目を向けると、もうすでにほとんどの魔物を倒し終えていた。
獣人族の兵士も、もう自分達より魔物の数の方が少ないため何人かで一匹の魔物を囲んで確実に倒していた。
「俺が行かなくても終わりそうだな。」
しかし、あの獣人族の使っていたスキルはなかなかにとんでもないスキルだった。まず、あの姿が急に消えるスキルは
次に影移動、コレが影の中に潜むことのできるスキルだろう。しかも影のなかに入られると気配を感じとることが出来ない。
「この世界のスキルにも対策をしないとな。従来の戦い方じゃあダメだ。」
これから戦っていく相手も何かとんでもないスキルを持っているかもしれない。レスの時こそ散桜で何とかなったが、あれは本当に最後の手段だ。
「もっとこの世界に順応しないとな。」
そう決意を固め、俺は残った魔物の掃討を手伝いに向かった。
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