ハウスキットの恩恵
あの集落を離れ、少し歩いたところに小高い丘があった。その頂上に拠点を構えるのにいい場所があったのでそこを拠点とすることにした。
「ここなら良さそうだな。」
早速ハウスキットを展開する。見通しが良いから襲撃の兆しがあればすぐに反応できる。
取りあえず中へ入りソファーに腰掛け一休みする。各々紅茶だったり、ジュースを飲んだりしながら疲れを癒していた。
「ふぅ、しかしホントにこのハウスキットは便利だな。」
もし、このハウスキットがなかったら最悪野宿ということもあり得たからな。この状況下で野宿は最悪だろう。体を休められたものではないはずだ。
「これがないとその辺で野宿する羽目になるからねぇ~。」
「それはあんまり考えたくはないわよね。」
二人は苦笑いしながらそう言った。
「ふふっ♪もっと感謝してくれてもいいんですよ?これを作るの結構大変だったんですから。」
えっへんと胸を張ってイリスがそう言った。
「これイリスが作ったの!?凄いわねぇ……あ、そういえばイリスは女神だったわね。」
「あんまりにも距離が近いから、最近女神って感じが薄れてきてるんだよねぇ。」
「そ、そんなぁ…。」
二人の言葉にイリスはがっくりと肩を落とす。
「ま、まぁこれを作ってくれたお陰で不自由なく生活できているから、イリスには本当に感謝してるよ。」
「うぅ~やっぱりヒイラギさんは優しいですね。私が見込んだだけあります。」
まぁ、イリスはイリスだからな。一人ぐらい女神っぽくない女神がいてもおかしくないだろう。うん一人ぐらいだったら…な。
「さて、これから陽が落ちてどんどん暗くなってくるから、見張りをしないとな。」
暗くなれば明かりの方へ誘われるように魔物がやってくるかもしれない。
「アタイも手伝うよ?」
「ワタシも手伝うわ。」
そう二人は言ってくれたが…。
「いや、今夜は俺が見張りをしよう。取りあえず今日みんなは疲れをとることに専念してほしい。」
「でも、一人で見張りって辛くないかい?ヒイラギだって疲れはあるだろ?」
「こういう徹夜の作業は慣れてるから心配しなくて大丈夫だ。」
そう言うと、二人は顔を見合わせ考えるような素振りを見せた後言った。
「わかった、でも交代したくなったらいつでも言うんだよ?」
「無茶だけはしちゃダメなんだから。」
「あぁ、わかった。」
二人と約束を交わし、無茶はしない程度に最初は俺が見張りをすることに決まった。
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