実食!!トングのムニエル


 数分後、ウェイトレスがみんな分の料理を運んできた。


「お待たせしました~、本日の日替わり定食になります。」


 日替わり定食には、トングとやらのムニエルに白パンとスープ、サラダがついている。


「こちらのスープは魚の骨から出汁をとったものに、塩のみで味をつけたものになります。お料理と合わせてお飲みください。」


 ほぅ……これはまた塩だけというのがいい。出汁の味、風味をダイレクトに感じれるだろう。


「それではごゆっくりどうぞ~。」


 ウェイトレスが料理の説明を終えると、個室から退室していった。


「とってもいい匂い~。」


 シアが料理の香りを嗅いで、表情を蕩けさせていた。


「バターがいい香りを出してるな。さぁ、冷める前にいただこう。」


「「「いただきます!!」」」


 俺は真っ先にスープを一口飲む。すると、濃厚な魚の出汁の味と香りが伝わってきた。


 とても美味しい。塩加減もバッチリで、出汁の味を際立たせている。


「さて、メインのムニエルはどうかな。」


 フォークでムニエルを刺すと、サクッという心地のよい音がした。そしてナイフでムニエルを切り分けて口へと運んだ。

 口に入れた途端に、バターのいい香りがフワリと広がった。


 表面はサクサクで中はフワフワだ。バターはしっかりと香るが、油がしっかりと切られているためクドさもない。


「うん、美味しいな。」


 文句なしの美味しさだ。


「お兄さん、このお魚美味しいね!!」


「あぁ、美味しいな。いい勉強になったよ。」


 そして料理を楽しんでいると、ランがふとあることを問いかけてきた。


「ねぇ、ヒイラギもこれと同じ料理は作れるの?」


「あ、それアタイも気になったよ。どうなんだい?」


「まったく同じ味のものを作るのは難しいかもしれないが、ほぼ同じものなら作れるな。」


「それじゃあ今度はシア、お兄さんの作ったやつが食べたい!!」


「そうか……なら明日魚が市場に入ったら、このトングって魚を買って作ってみようか。」


「ホントに!?」


「あぁ、約束する。」


「えへへ、やったぁ!!」


 みんなとそう約束をして、昼食の続きを楽しむのだった。

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