目を覚ますとそこは… その3


 私はポテトサラダも平らげ、最後に残ったハンバーグを切ると肉汁がたっぷり飛び出した。

 口に入れるとやっぱりソースといいハンバーグの固さといい、もうサイコー! もちもち艶々したご飯との相性もバッチリだった。

 すっかり全部食べ終えるとルナを呼んだ。


「はいルナ」

「なんでしょう」

 間髪入れず声が聞こえてきた。どこかにマイクやスピーカーやカメラが隠されているんだろうなぁ。

「あの機械を動かすのに必要な特殊な物質は三つで間違いないですか? 」

「その通りです」

「肉体を改造する装置に必要な物質が二つ。

 一つは竹取物語に出てくるお婿さまになりたい男性に出した、

 

 仏の御石の鉢

 蓬莱の玉の枝

 火鼠のかわごろも

 龍の首の珠

 燕の生んだ子安貝


 を持ってくるという難題のうちの一つ。

 龍の首のたまですね」


「はい、その通りです。物語では偽物や見つからなくて誰もお婿さんになれなかったと伝えられていますが、実は全て見つかり実験したところ龍の首の珠だけが、物質の特性が認められました」


「だけどまだ技術が追いついていなかった。それで当時の日本で一番安全な場所。

 つまり帝に預けたのですね」


「その通りです。唄とたくさんの黄金とともに………黄金は使われてしまいましたが、龍の首の珠は置いてある場所が分かっております」


「それから何百年も経って、地球に隕石が落ちるのを『月』が観測した。

 その隕石が《イガジウム》

 《イガジウム》はその成分を観測する限り素晴らしい性質を持っていた。かぐや一族の科学者たちはなんとかその落下地点を探ろうとしたが、余りにも不規則な軌道で、高速で落ちていった為、落下地点が見つけられなかった。

 だけど、研究を進めれば進めるほど、肉体を改造するのに、その力が必要な事が分かったんですね」

「はい、どこに落下したのかは未だにわかっていません、私も常に探しているのですが、有力な情報は一つもありません。私の設計に間違いなければ、その二つの物質さえ手に入れば、寿命を伸ばす事は勿論、死体でさえ——腐乱していない新鮮な死体に限りますが——再生、つまり動き出します」


「そして最後は、魂の注入装置に必要な通称、《魂のベッド》理論と技術で機械は完成したが、《魂のベッド》に適合するのはどんな物質なのか? それがまだ判明していない、ルナ、これで間違いはありませんか? 」


「その通りです。その物質については私は何の解析もお手伝いもできません。魂という存在について全く理解ができないのですから」


「うん」


 私は最後に麦茶を飲んだ。

 なんだこれ!

 麦茶ってこんなに美味しかったんだ、うーん水だな、使っているお水がサイコーに美味しんだ。なるほど………。

 

「ご馳走さまでした」

「お粗末さまでした」

「お料理どれもとっても美味しかったです。ハンバーグなんか肉汁たっぷり、お肉もサイコー! ご飯も味噌汁も麦茶だってこんなに美味しいの飲んだことなかった。ありがとうルナママ」

「まぁ! ルナママですか! 」

「うん、そうだよ、これからもよろしくね」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」


 翁じいの運転する白いリムジンは徐々にスピードを上げて、水深二百メートルを進んでいく。


 始めていく外国、楽しみだ。

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