首を絞める

 ミステリーを書くかたには、わかっていただけるかもしれませんが、書く側は犯人の犯行方法を適当に決めていないことがほとんどです。

 トリックのために凶器が制限されるパターンもあれば、犯人の性格を考えてという場合もあります。

 私は犯人の人物像とか動機にウェイトをおかないパズルっぽい作品のときは、銃を用いることが多い気がします。

 現実の日本では銃は手に入りにくいため、「嘘っぽく」できるからかもしれません。

 話を戻すと、「オッタモール氏の手」は「手」とあるように首を絞める犯人です。

 前回、切り裂きジャックについて触れましたが、刃物ではないからこそ、この不気味なテイストが出せるのでしょう。

「触る」感覚が怖い。

 刃物という物質を介さずに犯人とダイレクトに触れている気持ち悪さ。

 もちろん、乱歩はこのアンソロジーを編むにあたり、作品の完成度を評価したのでしょうが「触る」というフェティシュなものに個人的にひかれたようにも感じます。

 なにせ「人間椅子」の人ですから。

 

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