第85話 提案
「確かにそんなことを言ってたかもしれませんが、追加だからホイ、と出すような経費は無いんですよ…。
私も、ゾームの驚異を軽んじているわけではありません。
ですが、この国は他にも金を必要とする物事があるのです」
リーガルはそう答えた。
中々議論はまとまらない。
そんな折、同席していたレインが発言した。
「あのー、提案があるんですが」
一同が、レインに注目する。
「キラーマンティス討伐の依頼がギルドに来てますよね?」
レインの質問にグレンダールが答えた。
「ああ。だが、ギルド長のジューマン殿でなぜか保留され、依頼は実行されていないようだが…」
前に、このプロジェクトに無理やりジューマンがねじこもうとした案件だ。
ランペルツォンのおかげてその時は助かったが、ジューマンはヒロに丸投げできなくなって放置しているのだろう。
レインが提案を伝える。
「あのキラーマンティス討伐の依頼を、格安で引き受けます。
その代わり、浮いた費用をゾーム討伐プロジェクトに充てるというのはどうでしょうか?」
リーガルが答える。
「それなら、支出が増えるわけではないので、構いませんよ。
でも、キラーマンティス討伐を費用を下げて実行することが、本当にできるのですか?」
グレンダールも言葉を添えた。
「キラーマンティスも決して弱いモンスターではない。
費用を削減した結果、討伐できないという結果にならないだろうか?」
「その点は、大丈夫です!
ヒロさんが、大魔法で倒しますから」
レインには、ヒロが大魔法を使えるということは伝えてある。
というより、プロジェクトメンバーには伝えている。
いざヒロが魔法を使った時に驚いて仕事が疎かになるといけないからだ。
とは言え、何を言い出すのか。
ヒロはレインを二度見した。
「えっ?ちょっと、何てことを言うんです!」
***
結局、ヒロはレインとサレナと共に、シュテリア大森林にいる。
キラーマンティスを討伐するためだ。
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