第80話 マネージャーがすべきこと

大魔法に頼りすぎていた。

頼ってはいけないと思いながらも、使える状態になると頼ってしまい、大魔法を中心に物事を考えてしまったのだ。

そうして、思考は狭まってピンチを招いた。


そうではなく、普通の魔法で、みんなが戦えるように環境を整える。

鎧を着ていて兵器で倒せないなら、鎧を無力化すればいい。

エルザスに対してメグが魔法を唱えられないなら、ジュドーを前衛として配置すればいい。

自分に頼るのではなく、皆を活かす。


最後の魔力を使って、ヒロはエルザスに対してアースバインドを何度もかけた。

魔力が枯渇するまで。

ジュドーがメグと合流し、絡まった糸を切るまでの時間稼ぎのためだ。


かつ、ヒロも討伐隊の元へたどり着いた。

あらかた、討伐隊と兵器の活躍で、他のゾームは片付いていた。

よって、討伐隊はすでに兵器の準備を完了しており、ヒロが連れてきたゾームへ魔道具でアースバインドをかけた。

流れるように、矛を射出する。

矛は、鎧を乾いた年度のように砕き、ゾームに刺さった。

続けざまの雷撃により、ゾームは動かなくなった。


鎧さえなければ、兵器は通用する。


「よし!」


ヒロはガッツポーズをした。

メグの方を見ると、ジュドーがちょうどメグの糸を切ったところだった。


ジュドーが戦っていたゾームは、すでに討伐隊がアースバインドをかけようとしている。

倒すのは時間の問題だ。


となると、残るはエルザスのみ。


「くそがぁ!

 俺の分身どもをよくも!

 殺してやる!」


エルザスが叫んだ。

八本の足しに絡まるアースバインドのツタを引きちぎり、エルザスはメグとジュドーへ糸を吐き出した。


「龍炎斬!」


ジュドーは炎をまとった剣で、糸を薙ぎ払う。

糸は燃えた紙のように宙に舞って消えた。


「雷迅突!」


ジュドーがそのままエルザスの方へ突きを放ち、距離を詰める。

エルザスは器用に蜘蛛の前足を使い、ジュドーの突きをいなした。

勢いを殺されたジュドーはエルザスの横に投げ出される。

エルザスは屈強な上半身の拳で殴り掛かった。

ジュドーは間髪、後ろへ飛んで避ける。

だが、エルザスの攻撃の手は緩まない。


そして、エルザスには知能がある。

このままメグを放っておけば、強力な魔法を受けてしまうことは明白だとエルザスは考える。

エルザスはジュドーを攻撃する傍ら、メグに対して糸を吐き出そうとした。


そんな折、ヒロが叫んだ。


「くらえー!スーパーファイアボールスペシャル!」


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