第66話 討伐準備(その3)
ジンジャーはいつものテンションでジョセフに突っかかるのだがテレサはジョセフの顔に何かついているのかと聞きたくなるくらいじっと見つめ目が合うとすぐに視線を逸らす。
「テレサ、それで何の告白をしたいのかいい加減教えてくれないか?」
「そっ、それは…私がジョセフのことが…好きだってことだ!」
(はっ?急に何を言い出すのかと思ったら好きですと伝えるための告白だったのか…)ジョセフはそう思いながら一瞬思考を停止させた。あの生真面目なテレサがジョセフに実は好意を寄せていたなんて言われても今更感が強かった。そう思うとテレサもメルヘンチックというか乙女だなとジョセフは思ってしまった。
「そうだったのかテレサ、俺のことが好きならもっと早くに行ってくれればよかったのに…」
「バカ!お前がリサと婚約しているのにその…簡単に言えるわけないだろ!」
「つっても一夫多妻認められてるんだから普通に告白すりゃいいじゃん」
ジョセフはテレサの恋心なんか知らずぶっきらぼうに言ったがジンジャーはやれやれと呆れつつも何か言いたそうである。
「あのさあジョセフ、私も実はジョセフのこと好きなんだよね」
「……んっ?」
ジンジャーはジョセフに告白をし、ジョセフは間抜けな声を発する。
ジョセフは(いやいやちょっと待て!何このハーレム展開、いきなりすぎてマジで意味わからないんだけどこんな出来事実際に起きていいのかよ!それに何で俺なのか理解できない。日本にいた頃はオタクキモイだ死ねだのと罵られていた俺がこんな美少女たちに好意寄せられていいわけがない。ただでさえキモオタだってのにこんなのラノベやアニメが好きなオタク達が知ったら批判殺到されてしまうぞ!)と内心状況を整理できずにいた。
「テレサとジンジャーは俺のことが好きだったことを今告白したということだけどいつから好きになったの?俺もジンジャーのことは初めて会った時から可愛いなあとは思っていたけどさ」
するとジンジャーの心臓はバクバクと高鳴りキュンとときめきデレデレになっていた。テレサはというといつもの冷静さはなくりそれを見たジョセフはテレサのことを可愛いと思えてきた。完璧に見える女性ほど以外に抜けてる部分があったりするとギャップ萌えしたりとオタク心を
リサとアイリスという二人の婚約者がいるっていうのに他の女にまで手を出したら流石にリサに殺されそうだと思ったジョセフはこれでリサが承諾したら完全にご都合主義であり、ジンジャーやテレサはジョセフと年齢も近いため本格的に恋愛するならテレサとジンジャーを選んだ方が無難であった。
(地球で確実にリサと婚約してますなんて暴露してみろ、確実にロリコンになるけどジンジャーとテレサならまあロリコン扱いはされないから俺としてはジンジャーがいいんだよなあ…というか誰か一人を選べと言われても俺には選べん!俺にとってリサ、アイリス、ジンジャー、テレサは俺の一番の女なんだからよ……)ジョセフは自分は決して最低な男ではないと自己暗示をかけていた。
四人もいるのに全員が一番の女という矛盾が生じてしまったがそれは突っ込まないでほしいとも思っていた。
「ジョセフに初めて会った時に私を助けてくれただろ?その時からだ」
「私は単に一目惚れかな~」
ジンジャーとテレサのジョセフのことが好きになった動機が一目惚れってところがまさにラノベ展開でウハウハとハーレム展開になるのかと考えたらジョセフは語彙力を失い言葉が全く浮かばずにいた。
「一目惚れかよ…」
「「別にいいでしょ」」
ジンジャーとテレサは異口同音しジョセフは右手で帽子の上から頭を掻きむしりハアっと溜め息を吐き肩を竦める。
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