21 S アースドラゴン

 歩く戦車それが「アースドラゴン」だ。

 これは比喩ではない。フィーラル王国軍はアースドラゴンの竜車の戦車型を実運用している。


 まず見た目は、見たことない人には説明しがたいのだが、サイに少し似ている。

 ウシを大きくして、灰褐色にして、毛はなく表面はドラゴンなので鱗、そして頭それから背中に一直線に角が並んでいる。

 ノシ、ノシ、ノシと歩くのを見るのは圧巻だ。

 普段はあまり見かけないが、王都の騎士団パレードには一緒に国軍のアースドラゴンが参加する。

 また、そもそも巨体ので、一歩が遅く見えても実際には歩幅がデカいので、思ったよりは遅くない。

 そういう意味でも戦車に丁度いいのだろう。


 また、普通に民間利用もされている。

 数は少ないが、マーデル商会の竜車は特に有名で、全国で12頭を展開しているので、道を歩いているのを目撃することがある。

 最大の利点は、盗賊もビビって手を出してこない。

 その上に、ほとんどのモンスターも逃げ出して、襲ってこないので、めちゃくちゃ安全に荷物を運べる。

 キャラバンの先頭に配置することも行われており、後続の馬車で荷物を満載しているのを見かける。

 普通は盗賊対策や色々な都合で荷物が少ないことも多いのに、満載なのは信頼性が高い証拠でもある。


 戦闘力は、なんだろう。

 歩く戦車というのはバカにならない迫力なので、一度でも見かければ覚えているだろう。

 こんなもの、歩く暴力装置である。

 しかも、敵意を見せれば、突っ込んで走り出すらしいので、笑い事では済まない。

 普段、歩いているのを最大速度だと思いあがると、痛い目を見る。


 ちなみに、味は不明だ。

 生きているフィーラル王国人で、アースドラゴンを食べた人は現存していないはずだ。

 理由はフィーラル王国中央のフィーラル大草原に住んではいるが、数が少なく、保護対象だからだ。

 乱獲は禁止で、許可制だが、あまり許可は下りない。

 密猟は心配されているが、そもそもドラゴンに勝てる密猟者が少ないため、あまり問題視されていない。

 ちなみに、ドラゴン肉はワイバーンのそれを上回ると言われている。

 様々な理由で、ドラゴン種の一種が狩られることは、100年に一度くらいはあり、祭りになるのでだいたい記録に残っている。

 前回は俺が生まれる前なので、詳細までは分からないが、言い伝えはある。

 伝手があれば、老人などに聞いてみるのもよいかもしれない。

 ただ、実際に食べた人の話を聞くのは、無理だろう。

 食べたという話があっても、偽物を食べさせられて、実はワイバーン肉だったというような、笑い話はつきない。


 地竜人形、アースドラゴンのぬいぐるみも、今のぬいぐるみブームに乗っかって量産体制に入っており、あちこちで見かける。

 これはカッコいい枠なのか、かわいい枠なのか、少年少女に聞きたいところだ。

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