(二)

 一ヶ月後のゴールデンウィークにサークルメンバーで二泊三日の春合宿に行った。アウトドアキャンプだった。サークルメンバーは単純に旅を楽しむだけでなく、キャンプが好きな人たちが多かった。さらに合宿は、新人歓迎会、そして夏の旅行企画の検討会議もかねていた。それなので、昼には河原でバーベキューを楽しみ、夜にはロッヂに泊まりがてら、ミーティングをした。

 二日目、朝食後のちょっとした空き時間に、キャンプ場の前にあった河原に行った。その土手にはクローバーが群生していた。私とそのとき一緒に来ていた子と一緒に、四つ葉のクローバーを探した。子どもの頃にも同じように探したことがあったが、そのときは見つけることができなかった。だからこのときも、探してはみたけれど、実際には見つからないだろうなあ、なんて思っていた。でも、見つけることができた。四つ葉のクローバーを。やっと私にも幸運が巡ってきたのかな、なんて思って嬉しかった。

 そしてその日の夜、私はあなたに誘われてロッヂに出た。まだ肌寒い中を月明かりが照らす川の水面を見ながら、あなたは私に付き合って欲しいって言った。私は嬉しくって、すぐにOKした。


(続く)

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