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永瀬警部補は一度栄警察署に戻ろうと家庭教師塾fightmensファイトメンズの近くに停めた覆面車両に乗り込んだ。

 闇夜の中、永瀬警部補が覆面車両を走らせているとガタンッと音がした。

 

永瀬「何が起きたんだ?」

 

 このまま、しばらく覆面車両を走らせていると覆面車両の車高がズンッと下がって永瀬警部補の体が沈んだ。

 

永瀬「あちゃー、パンクでもしたか? 仕方ない。見てみるか」

 

 永瀬警部補は覆面車両のエンジンをストップさせて車両の様子を確認しようとした。

 

永瀬「やっぱりかぁ、左右の前輪と左後輪がパンクしてやがる。仕方ない、JALでも呼ぶか~」

 

 永瀬警部補がタイヤのパンクを確認すると「タイヤがパンクしたから遅れる」と栄警察署に電話を入れた後、電話一本で駆けつける自動車サービスのJALに電話をすることになった。

 JALの到着を待つ間、タバコに火を付けて寒空の下、茶色いコートに身を包んで、両腕を組むような格好で身体をさすっていた。利き腕の右手でタバコを持ち、時間が経つのを鼻から煙を吐いて、楽しんでいると白いワゴン車がやって来た。ワゴン車の中から、顔を下に向けて見えないようにした男達が続々と現れた。

 

 

永瀬「お、来たか?」


能面A「お前が永瀬清人ながせきよとだな?」


 男達が永瀬警部補のほうに顔を向けると共に能面が姿を現した。


永瀬「な、誰だ? お前ら……もしや! 例の能面集団だな?」

 

能面A「かかれ。」

 

 永瀬警部補は突如として、能面集団に囲まれてしまった。周りは閑散とした人気ひとけの少ない道路と数台の無人の車が停車する駐車場があるばかりだった。

 

 永瀬)──まずい、まずい、まずいぞ。ついさっき署には遅れる、と入電したばかりだ。

 

 永瀬警部補の顔には、焦りがにじみ出ていた。冬なのに緊張からか、背中に汗が広がり、永瀬警部補はこの場の窮地を乗り切る為の方策の全てを彼の持つ頭脳を用いて、演算した。

 結論。昔習った柔術を思い出して、一対一の戦闘に入る事を編み出した。

 しかし、彼の考えは無為むいに終わったらしい。永瀬警部補の眼に幾つもの拳銃の銃口が、向けられていた。


永瀬「ハッハハハ。オモチャだよな? そうだと言ってくれ。」

 

 永瀬警部補の願いは能面集団が彼に向けた一発の銃声と共に消え去った。 

 

永瀬「痛、痛てぃー。さすがにこりゃ無理だわ。降参。」

 

 永瀬警部補の左頬を銃弾がかすめた。

 永瀬警部補は、成す術なく能面集団に拘束されてしまった。

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