2020/06/03
「あ、卵が安い」
いつも仕事帰りに寄る、住宅街にある小さなスーパー。
ディスカウントストアみたいに品物が安いってわけではないけれど、夜遅い時間まで開いている。終電間近まで働いている会社員からすれば大変ありがたい存在なのだ。
「1パック100円・・・」
いつも1パック200円で販売されている10個入の卵。しかし、この日は半額の100円で売られている。
今日は特売日だったのだろうか。このスーパーでこの値段は見たことがない。
毎朝欠かさず見ている星座占いも1位だったし、仕事の方も珍しく定時で上がることができた。
ここ最近全く良いことが無かった彼にとって、今日一日の出来事が大きなイベントのように思えた。
残り2パック。少しでも遅れていたならば、この卵達と出会うことはできなかっただろう。
空のコンテナの隣には「お一人様一パックまで」と黒インクで大きく書かれている。万が一タイミングが重なって一人がパックを取っても、最後の一パックが残る。間違いなく一パックは手に入れることができる。
何も疑うこと無く、この出会いに感謝しつつ腕を伸ばす。
重なる3つの手。
―3つの手?
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