第175話 夕焼け


茜色に染まる空の下

帰り道を急ぎながら

やさしい唄を口ずさむ

来る夜を怖れぬように


やがて濃紺と灰色が混ざり

夜が空へと広がって

狂暴なまでの夕焼けは

静かに幕を下ろした


すべてを見ていた少女は

足を止めることもなく

夜の帰り道を急ぐ

瞼には夕焼けの残像


噛み締めるように

光る一番星の下

やさしい唄を口ずさむ

あの茜色を忘れぬように

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