第100話 みぞれ混じりの


冷えた空気を吸いこんで

静かに歩く雨の道

跳ねる水溜まりのしぶき

降りやまない雨のリズム

透明のベールに覆われたように

遠くなる現実感


追い越していく車の音さえ

どこか他人事みたいで


落下する雫に向けて

そっと手をさしのべれば

その冷たさに身体ごと

こちら側へと押し戻される

かすかに混ざる細かい氷が

やけに手のひらに染みて

ほっとついた白い息

雨の中へと消えた



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