第77話 いつも通りの
いつも通りの道をいつも通り走り抜けて
いつもの場所を目指しいつもと同じ時を過ごす
その右手にあるのはここ一年くらいで出来た道路で
その左手にあるのは重機に取り壊された古いビル
一面に敷き詰められたガレキの山を横目で見ながら
それが立派にビルとして立っていた姿を思い返すけど
どう考えてもガレキはガレキで建て直せるはずもなく
失われていく姿とその記憶を思う
ひょっとしたらいつも通りだと思っていることなんて
全て脆く崩れてしまう存在なのかもしれない
いつもと同じ動きの中で考えることも日々違って
いつもの場所に吹く風は今しか感じられない温度で
今ここにしかない人やモノや自然のすべて
ただひとつのものとして愛せたらいいのにな
こんな感傷じみた思いを抱くのもほんの一瞬の出来事で
愚かにも全部忘れ去って失ってから嘆くのだろう
そうやっていつも通りの日々は過ぎていく
いつもと同じ顔をしながら
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます