第77話 いつも通りの



いつも通りの道をいつも通り走り抜けて

いつもの場所を目指しいつもと同じ時を過ごす


その右手にあるのはここ一年くらいで出来た道路で

その左手にあるのは重機に取り壊された古いビル 


一面に敷き詰められたガレキの山を横目で見ながら

それが立派にビルとして立っていた姿を思い返すけど

どう考えてもガレキはガレキで建て直せるはずもなく

失われていく姿とその記憶を思う


ひょっとしたらいつも通りだと思っていることなんて

全て脆く崩れてしまう存在なのかもしれない


いつもと同じ動きの中で考えることも日々違って

いつもの場所に吹く風は今しか感じられない温度で

今ここにしかない人やモノや自然のすべて

ただひとつのものとして愛せたらいいのにな


こんな感傷じみた思いを抱くのもほんの一瞬の出来事で

愚かにも全部忘れ去って失ってから嘆くのだろう


そうやっていつも通りの日々は過ぎていく

いつもと同じ顔をしながら

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