第75話 銀杏の木


あのイチョウの木に会いたいと思った


ひっそりと立つにはあまりにも堂々とした枝っぷりで

秋には大きな黄金色を悠々と散らす


その黒々とした佇まいと

対照的とも言える静けさを纏った姿


そんなあの木に会いたいと切実に思った



それはなんとも衝動的な思いだけれど


自分の中ではまったく奇妙なところはなくて


きっとあの揺らがぬイチョウに今の私は救われたいのだろう


そう思えばあまりにも当然の望みな気がして


さっそく明日会いに行くことを決めた



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