第50話 十六夜


夜を照らす白い光が頑なな闇を溶かして

心にあいた「からっぽ」をその蜜で埋めていく

今日の明かりがやさしいのはたぶん

空の真珠も同じ穴を抱えているから

未完成な完全体はそれでもまあるく

消えない「からっぽ」を包んでいく

その温かな光に抱かれた不器用な体は

見えない明日を静かに受け入れる







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