第40話 夜


転がるセミの死骸

道端に枯れた花

折れたビニール傘

錆び付いたフェンス


命の兆しさえ感じない夜


閉ざされた視界

鳴り響く歌の断片

痛みすら分からない

この渇いた心


温かいのはまぶたに映る月明り


その温度だけが

先の道標となり

嗅ぎわける息吹き

生まれ来る命を

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