第21話 手

たとえばこの手を離したとして

繋ぎ止めていたはずのあなたは

まっすぐ墜ちてしまうのだろうか

固く冷たいアスファルトへと


それとも繋いでいたこの手は

あなたを縛る鎖となっていて

手を離し解き放たれた瞬間に

空へと舞い上がるのだろうか


一体どうなってしまうのか

分からないからこの手を

離すことなんてできなくて

必死に指まで絡めてみたりして


離れられないのは

本当はあなたではなく

ただ失いたくないと思う

臆病風に吹かれた私だ


そんな私を隠したくて

知られたくなくて

そっと手を握り直す

決して離れないようにと


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