第19話 日記

震える手でめくる新しいページに

描かれていた絵はどこか懐かしくて

それがなぜかひどく腹立たしくて

そばにあるナイフでバラバラに切り刻んだ


新しい絵を描くのは僕だ

新しい物語を紡ぐのは僕だ


無言のままノートを切り裂きながら

流れてくる涙を拭うこともせず

壊れていく過去をただ見送った

積み上がっていくのは僕の記憶の欠片


葬られた過去に花を手向けて僕は

真っ白な紙に描き始めるのだろう

それを未来と呼ぶのかどうかは

今はまだ分からないけれど


苛立ちも虚しさも寂しさも全部

過ぎてしまえばただの日記の一頁で

また新たなページを作り上げていく

泣きながら悼みながらそれでも前を向いて




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