暗がりに叫ぶ・2

マフユフミ

第1話 羽化

不意に生じた亀裂から

出した足をバタつかせ

なんとか這い出そうともがく

苦しくて痛くて

それでも繭から出たくて

足掻くことはやめない


そうまでして出たいのか

この混沌の世界に

苦味も何も知らないまま

サナギのままで息絶える

その方がきっと幸せだろうに


それでもジタバタ動く足は

亀裂を広げ繭を壊し

やがてあらわになる羽

しっとり濡れたそれを

試すかのように動かす

緻密に飾られた羽模様は

陽の光にゆらめく


そこに吹く嘘のように柔らかな風

そして蝶は飛び立った

夢にまで見た繭の外

喜びと憎しみの渦巻く世界へ

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