第22話

「この点については、国税庁がホームページの質疑応答事例で回答しています。背広など、私服としても着用できるものを制服として支給する場合、経済的利益の課税はどうなるかという質問に対してです。回答はシンプルで、所得税法上非課税とされる制服等には当たらないことから、給与等として源泉徴収をする必要があるというものでした。これは、完璧には覚えていないので、スマホを検索されてもらいます。少し読み上げますね」


 田嶋は国税庁のウェブサイトの内容を読み上げた。次のような内容だ。




1 制服、事務服等の支給又は貸与を非課税としている基本的な考え方


  制服等の支給は、給与所得者の職務の遂行上欠くことのできないものであると同時に、その給付は使用者自身の業務上の必要性に基づくものであって、給与所得者の勤務条件上も使用者が負担すべきものとされている場合が多く、その費用を支出すべき主体は、使用者とみることができます。


 このように、制服等の支給による経済的利益は一種の反射的利益であって、給与所得者に特別な利益を与えるものではなく、また、給与所得者の役務提供に対する対価という性格が極めて希薄なものであることから、一定の制服の支給を非課税として取り扱うこととしています(所得税法施行令第21条第2号、第3号)。




2 非課税とされる制服等の範囲


  「制服」とは、「ある集団に属する人(学生、警察官など)が着るように定められた服装」であるとされるところ、所得税法上非課税とすることを予定しているものは、このような意味での制服、すなわち、警察職員、消防職員、刑務職員、税関職員、自衛官、鉄道職員などのように組織上当然に制服の着用を義務付けられている一定の範囲の者に対し使用者が支給する制服に限定しているものと考えられます。


 一方、所得税基本通達では非課税となる制服の範囲を若干緩めて、必ずしも職務上の着用義務がそれほど厳格とはいえない事務服、作業服等についても非課税として取り扱うこととしていますが、この取扱いは、事務服等の支給又は貸与によって受ける経済的利益は、制服等の支給又は貸与の場合のそれと実質的に差異がないことから、課税上同様に取り扱うという趣旨です。


 したがって、その事務服、作業服等の支給が非課税とされるためには、それが、 専ら勤務する場所において通常の職務を行う上で着用するもので、私用には着用しない又は着用できないものであること、 事務服等の支給又は貸与が、その職場に属する者の全員又は一定の仕事に従事する者の全員を対象として行われるものであること、(更に厳格にいえば、それを着用する者がそれにより一見して特定の職員又は特定雇用主の従業員であることが判別できるものであること)が必要であると考えられます。


 これらのことから、制服等として支給され、職務の遂行に当たり現に着用されているものであっても、これらの要件を満たさないものは、非課税とされる制服等には当たらないと考えられます。

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