第23話 黒猫
そこでなぜかマリアと呼ばれていた。
一人が言い出して定着しちゃったパターン。
最初黒い子猫に懐かれたんだけど、そこは犬や猫にとって弱肉強食の世界だった。
他の犬や猫を襲って食べていた、骨の砕ける音が聞こえる。
建物のすぐ前がそういう光景なのだが、なぜか人間は襲われなかった。
黒猫はだんだん強く、大きくなっていった。
しかしやりすぎたようで、白い大きい犬に食い殺された。
なぜか意志疎通できるようで、白い犬にそこまでやる必要があったのか訪ねると、肯定の言葉が聞こえた。
ほぼ耳と顔が少し残っただけの黒猫の意思は(ごめんね、マリア)だった。
どういう意図のごめんねなのか、私にはわからなかった。
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