第106話 俺と彼女のステータス確認 2
「ただいまっ」
ロナは元気にそう言いながら自宅の玄関の戸を開けた。
俺達以外に誰も住んじゃ居ないが、帰ってきたら「ただいま」と言いたくなってしまうのは、人の
今は午後四時くらい。夕飯時まではまだ時間がある。
となればダンジョン攻略後の恒例である、ステータスと宝箱の中身の確認をする時間は十分にとれるだろう。
「さ、一休みしたらステータスと宝箱を見よう」
「そうだね! ……えへへ、きっと私のステータス見て驚くよ」
「それは楽しみだ。実は俺も今回、なかなか変化があってな」
「おおっ!」
自室でラフな格好に着替えたあと、リビングに集まって、二人並んでソファに腰をかける。
軽く話し合った結果、まずは俺のステータスから見ることになった。
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ザン・コホーテ
☆ Lv.1
適正:農家・商人・盗賊
<無所属/-ランク>
魔力量 2/2
攻撃:1 防御:1 速さ:1 魔力強度:1
魔法:-
術技:-
能力:『料理名人』『高速耕し』『高速読書』
『掃除上手』『栽培上手』『嗅ぎ上手』
『宝具理解』『強制互角』
称号:【不成長の呪い】【最弱の呪い】
【無魔法の呪い】【無闘の呪い】
【呪い呼びの呪い】【呪いの限界】
【呪い無効】【呪いを喰らいし者】
【紅茶を極めし者】
【ジャイアントキリング】【攻略者】
【魔神の寵愛】
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ロナに最後に見せた時より増えたのは、能力が『高速読書』と『嗅ぎ上手』、称号が【紅茶を極めし者】と【魔神の寵愛】。進化したのが『料理名人』だ。
『高速読書』は読書の速さと理解力に関わる能力。
そして『嗅ぎ上手』はロナとお揃いの、匂いの嗅ぎ分けなどに関する能力だな。それぞれ趣味を
ただなぁ、どっちも子供の頃に手に入れたことがあったような気がするんだよな。なんか既視感っていうか……ま、気のせいだろうが。
で、【紅茶を極めし者】は文字通りだ。
この紳士に相応しい称号だろう。より紅茶に関する扱いが巧くなる効果があるようだな。これ以上どううまくなるかは知らないが。
【魔神の寵愛】はよくわからないけど、『魔神』とやらがハーピィのお姉さんを指すのなら、彼女に気に入られたってことで良いんだろう。好意的に受け取っておこう。
ただまあ、何よりも一番俺達にとって収穫があったと言えるものは、やっぱりあれだ。
「お料理の、名人……っ!」
「ああ。これでより紳士的にその舌を喜ばせることができるぜ、レディ」
「うん……!」
ロナの喉がゴクリと鳴った。小さくれキュートな音だったがお腹も鳴った。
作る前からこんなに喜んでくれるんだから、料理人
「き、今日は疲れてるから、明日から……だよね!」
「そうだな、申し訳ないがそうなる。今日も今までのようにディナーは外食だ……が、あるいは今日の夜に軽い夜食くらいなら作ってみようか?」
そう提案すると、ロナは目を輝かせながら激しく頷いた。
はは。じゃ、夜は久々に頑張るとするかな。
「俺の変化はこのくらいだ。ま、成長しにくい身にしては中々の成果だろう」
「うんうんっ」
「それじゃ、今度はロナの番だぜ」
「……ふっふっふ。はい!」
ロナはそれはもう自信たっぷりな表情を浮かべ、ステータスカードを俺に手渡してくる。
それをパッと見た瞬間、即座に理解できた。先程からやけに上機嫌だったその理由を。
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ロナ・ドシランテ
☆☆☆ Lv.7
適正:剣士・武闘家・パラディン
<無所属/-ランク>
魔力量:770/770
攻撃:422 防御:317
速さ:211 魔力強度:106
魔法:【攻撃】
[フレアータ][トルネーチ]
[アクア][サンダ]
[ライトーア]
【回復・補助】
[ハドル][スピルウル]
[ライフ][ヘルフ]
◆:【究極魔法】
[ハドルオン=バイゼン]
[ライフオン=オルゼン]
術技:【剣技】
<真・魔力斬り><真・波動斬り>
<火炎斬・改><炎波斬>
<真・疾風斬><真・風波斬>
<流水斬><雷鳴斬>
<光白斬・改><光波斬・改>
【突技】
<魔力突き・改><波動突き・改>
<疾風突・改><風波突・改>
<雷鳴突><光白突>
【体技】
<魔力拳><魔力脚>
<疾風拳><疾風脚>
◆:【究極術技】
<月光風斬><鮫泳水斬>
<疾迅雷突>
能力:『剣術・7』『武術・5』
『術技強化・Ⅳ』『術技節約・Ⅲ』
『術技拡張・Ⅲ』
『風属性強化・Ⅳ』『風属性節約・Ⅲ』
『水属性強化・Ⅰ』『雷属性強化・Ⅰ』
『光属性強化・Ⅲ』『光属性節約・Ⅱ』
『回復強化・Ⅰ』『回復節約・Ⅲ』
『魔欠耐性・Ⅳ』『食魔補給・Ⅳ』
『魔貯蓄・Ⅳ』『嗅ぎ上手』
『掃除上手』『食料見分』
称号:【竜の血筋】【竜の誇り】
【ジャイアントキリング】【攻略者】
【魔神の寵愛】
【究極魔法習得者】【究極術技習得者】
【大食嬢】【容姿端麗・改】
【究極大器晩成】
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ようするに、ついにステージが星三つの大台に乗ったんだ。たしか、冒険者で言えばこの時点でB級にあたるんだったか。
俺がいなくとも一人でそのランクの魔物は割と余裕を持って倒せるわけだ。
目標である星五つまで、あと二つ。着実にゴールに近づいている。
ああ、これは本当におめでたいぜ……! 祝う他ないだろう!
しかし、それにしても……だ。
前のダンジョン攻略から、それはもう、とんでもなく様子が変わったな。
一応なにか変化があればその
あの頃と比べて、あまりの成長っぷりに圧倒されてしまいそうだ。
特に目立つのは能力。
『剣術』と『武術』という基礎を示す能力が三・四段階も上がり、『術技強化』『風属性強化』『魔欠耐性』『魔貯蓄』の四つはもう最終段階の一歩手前だもんな。
たしかザスターが言うには。
今のロナは【究極大器晩成】の悪い効果のせいで全く反映されてこなかった十数年分の努力と、伝説の冒険者(自分で言ってた)の血縁としての才能が、色々な環境が整ったことでようやく芽吹き始めているようだ。
これからもどんどんと爆発的に成長していくらしい……。これでまだまだ発展途上とは、我が相棒ながら恐ろしいぜ。
そういやカードの表記が色々変わってるな。
たしかこれは先日、ザスターが見やすいようにと、『魔法や術技を大まかな分類ごとにまとめる機能』や、その他諸々の機能を、所属してるギルドの装置をこっそり使って備え付けてくれたんだったか。
組織の備品を外部の人間のために勝手に使うのはアウトな気がするが。ま、あの人なら大目に見られたりするんだろう、きっと。
「どうだった?」
「……おめでとうっ! 心から祝福するぜ? 術技も能力も全体的に見違えたようだしな。着実に強くなっていってて感動したぜ」
「ありがとっ! でも……私一人じゃここまで強くなるのは何年かけても絶対無理だった。それもこれも、ザンと叔父さんのおかげだね」
ロナはそうは言う。
たしかに俺と叔父がかなり助けたのは事実だ。
だが、ロナ自信も訓練所を譲り受けてからこの三週間、ずっと自己鍛錬を続けてきた。
一日何時間だ? 暇さえあればすぐ鍛えていた覚えがある。
ザスターは彼女の幼少期に、ひたすら努力と基本を積み重ねろと教えたらしいが……それを今もひたすらに、まっすぐに守ってるんだ。
努力の天才とはよく言ったもんだが……ロナはまさにそれだろう。
その努力の影響は決して小さくないはずだ。
「本人が頑張ってるからこそ、俺たちの協力も生きるってもんだぜレディ」
「そう? そうかなぁ!」
「ああ、そうさ」
もしかしたら、こうして彼女の努力とその成果を最前席で眺められる立場に居るのは……かなり贅沢なことなのかもしれないな。きっと。
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非常に励みになりますので、もし良ければ感想やレビューやコメント、フォローなどをよろしくお願いします!
・おまけ・
ロナの前回(65話、本編より約三~四週間前)のステータスです。
今回の成長がどれほどのものか、比べてみてあげてください!
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ロナ・ドシランテ
☆☆ Lv.61
適正:剣士・武闘家・パラディン
<無所属/-ランク>
魔力量:505/505
攻撃:242 防御:181
速さ:121 魔力強度:60
魔法:[フレアータ][トルネーチ]
[ライトーア]
[ハドル][ライフ][ヘルフ]
◆:[ハドルオン=バイゼン]
[ライフオン=オルゼン]
術技:<魔力斬り・改><波動斬り・改>
<火炎斬>
<疾風斬・改><風波斬・改>
<光白斬・改><光波斬・改>
◆:<月光風斬><鮫泳水斬>
能力:『剣術・4』『武術・1』
『術技強化・Ⅰ』『術技節約・Ⅰ』
『術技拡張・Ⅰ』
『風属性強化・Ⅱ』『風属性節約・Ⅱ』
『水属性強化・Ⅰ』
『光属性強化・Ⅰ』『光属性節約・Ⅰ』
『回復節約・Ⅲ』『魔欠耐性・Ⅲ』
『食魔補給・Ⅳ』『魔貯蓄・Ⅲ』
『嗅ぎ上手』『食料見分』
称号:【竜の血筋】【竜の誇り】
【ジャイアントキリング】【攻略者】
【究極魔法習得者】【究極術技習得者】
【大食嬢】【容姿端麗・改】
【究極大器晩成】
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