第65話 俺と彼女のステータス確認

「じゃあ、今見せてもらおうかな」

「わかった! はい、どうぞ」



 ロナは懐からステータスカードを取り出して渡してくる。

 それを紳士らしく丁寧に受け取り、さっそく内容の確認を始めた。


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ロナ・ドシランテ

☆☆ Lv.61

適正:剣士・武闘家・パラディン

<無所属/-ランク>

魔力量:505/505

攻撃:242 防御:181 

速さ:121 魔力強度:60


魔法:[フレアータ][トルネーチ]

   [ライトーア]

   [ハドル][ライフ][ヘルフ]

 ◆:[ハドルオン=バイゼン]

   [ライフオン=オルゼン]


術技:<魔力斬り・改><波動斬り・改>

   <火炎斬>

   <疾風斬・改><風波斬・改>

   <光白斬・改><光波斬・改>

 ◆:<月光風斬><鮫泳水斬>


能力:『剣術・4』『武術・1』

   『術技強化・Ⅰ』『術技節約・Ⅰ』

   『術技拡張・Ⅰ』

   『風属性強化・Ⅱ』『風属性節約・Ⅱ』

   『水属性強化・Ⅰ』

   『光属性強化・Ⅰ』『光属性節約・Ⅰ』

   『回復節約・Ⅲ』『魔欠耐性・Ⅲ』

   『食魔補給・Ⅳ』『魔貯蓄・Ⅲ』

   『嗅ぎ上手』『食料見分』


称号:【竜の血筋】【竜の誇り】

   【ジャイアントキリング】【攻略者】

   【究極魔法習得者】【究極術技習得者】

   【大食嬢】【容姿端麗・改】

   【究極大器晩成】


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 まずはレベル。

 どうやらステージ☆2も半分を超えたようだ。数字で言えば前に確認した時より28レベルほど上がっている。

 そういえば、前回もだいたい25レベルくらいの上がったんだったか?


 毎回そのくらい上がるなら、あとダンジョン二周ほどでステージ☆3に成れるかもしれない。

 ☆5まではまだまだ遠いが、まあ、順調だとは言えるだろう。


 そしてステータスの数値は相変わらず伸びがすごい。さすがは【究極大器晩成】だ。

 

 特に、魔力の量が500を超えたため<月光風斬>が四発……いや、『節約』の能力があるから五発は休憩なしで連発できるようになったか。

 強力な技の撃てる回数が増えるってのは、シンプルだがかなり心強い強化だ。


 一方、魔法や術技は少しずつ着実に進化していってる。

 ……悪く言えばあまり突出した成長はないんだよな。


 今のロナは、究極魔法や究極術技といった大技を連発させ、一瞬で勝負を決めるのが主な戦法になりつつある。

 加えて、ダンジョン以外では技の練習もできていないから、こういった細々としたものが目立った成長をしないのも仕方ないのかもな。


 つまりだ、残念ながら現状は【究極大器晩成】の進化しやすくなるという特性を、この二つの項目にはあんまり活かせていないことになる。

 だが、逆に環境さえ整えば目まぐるしい成長が期待できそうだな。


 また、水属性の究極術技を覚えたんだ。近いうちにそれに準じたレパートリーが増えるだろう。なんなら明日とか明後日くらいには。


 一方で、能力はいい感じに育っていっている。

 強力な技ばかりを使う……魔法と術技の項目では裏目に出ていたその行為だが、能力ではむしろ良い方に働いているのかもしれない。


 今回は、狙っていた通りに光属性の節約と強化を得られ、さらには術技全体に適応するものまで手に入れた。

 その上、風属性はどちらも一段階ずつ進化したんだ。さらに基礎的な『剣術』もまた一つ上がっている。


 今のロナが全力で放った<月光風斬>は、一昨日までのロナのそれより倍は強いかも知れない。ま、おそらくだが。


 そういえば『術技拡張』っていうのは俺は初めて目にするが……なんてことはない、単純に技の効果範囲を広げられる能力みたいだな。こんなものもあるなんて、奥が深いもんだ。


 あとは『魔貯蓄』が「Ⅱ」から「Ⅲ」に進化しているのか。

 割とよく進化するな、これは。やっぱロナ自身が元から魔力の管理に関して隠された才能があったのかもしれない。

 あるいは、ダンジョン内でも頻繁に食事して魔力の補給を怠らなかったからか? そのうちちゃんと調べるのもいいかもな。

 

 そんでもって……だ。

 個人的に何よりも、どれよりも一番に注目すべきなのは、称号の欄に新たに増えた【容姿端麗】だろう。


 麗しいレディ達とお近づきになりたかった俺という紳士は、この称号についてかなり昔から頭に入っている。当然の話だ。


 容姿……その身の美しさを周りに注目され、どれだけ認められたか。その指標として得られる女性限定の称号さ。

 男用もあるらしいが名前は忘れた。ま、野郎のことは正直どうでもいい。


 とにかく、この称号を持っていれば多くの人間がその当人を美しいと感じた、ということになる。

 

 そんな称号をロナは、先週確認した時から今までの間に、新規獲得した。その上でさらに一段階進化させてしまったというわけだ。


 毎日外食に行っていたり、買い物に行ったり、なにより『リブラの天秤』のギルド内で、多くの人間の目に触れることになったからだろうか。

 

 この称号を持つことを名誉だと思うレディもいるため、非常にめでたい話ではあるが……俺個人としてはやはり、獲得が遅すぎるように思う。

 ロナほどとびきりの美人なら、俺と出会う前から獲得していたほうが自然だ。なんで無いのかずーっと疑問に思っていた。


 となると、だ。やっぱ彼女の故郷では容姿は特別なアドバンテージにはならないのだろうか。

 竜族……ロナを見ただけじゃ、まだまだ全部はわからないな。


 とりあえず、ステータスカードをロナに返そう。

 絶世の美女と共にいられることに、多大なら感謝をしながら。



「……なぁ、ロナ」

「んー?」

「【容姿端麗】、既に確認したんだろう?」

「う、うんっ……」

「はは、どうだ。俺の目に狂いはなかっただろ? ロナの美しさはもう否定しようがないぜっ……!」



 そう言ってやると、ロナは首をかなり激しく横に振った。

 あんまり強く首を振るもんだから、紅く長い髪が振り回され、ペシペシと俺の腹部にあたってくすぐったい。

 


「ち、違っ……! うん、それはきっと、ザンが私のことをたくさん褒めてくれたからじゃないかな? そ、そう! 私が特別なんじゃなくて、えと、あのその、全部ザンのおかげなんだよ!」

「ただ俺は、ロナが美しいという事実を伝えたまで。そしてこの称号も、それを形にしただけなんだ。俺の言葉だけじゃあこうはならない。ここにあるのは、ロナが美しいという真実だけさ……!」

「あぅ」

 


 照れてる……ああ、なんて見麗しいんだっ!

 よし、このまま誉め殺しにして……いや、紳士としてレディをどういう形であれ虐めるのは良くないな……? 調子に乗ってクールを欠いてはいけないぞ。でももっと照れさせたいという気持ちも……。



「ぅう、その……も、もういいよぉ! は、はやくお店行こうよっ!」

「ふふ、そうだな」



 うん。やっぱり惜しいけど、あんまりしつこいと嫌われるに決まっている。ここでやめておくのが筋ってもんだよな。


 それから頭の上から湯気が出そうなほど顔を赤くしたロナは、無言のままそそくさと外出の準備を整えた。


 俺もそれにならって帽子を被り直しつつ、部屋中広げていたものを『シューノ』に仕舞う。この過程で、大剣であり持ち運びに苦労する『ソジャーク』は普段は俺が預かることに決まった。ま、当然だな。


 そうして俺達は宿から出て、いつもの黄色い屋根の店へと向かったんだ。










=====


経験値のバランス調整ってかなり難しいんですよね、特に文系の私にとって……。

実はかなり前から各☆に到達するための必要経験値量を決め、そこから逆算して1レベルアップするのに得る必要のある経験値も決めていたのですが、この前見直したところ、☆6なんて、1レベルアップするのに1万もの経験値が必要だったんですよ。

つまり、Sランク1体倒してようやく1レベル上がるって設定にしちゃってたんですよね、☆6からは。☆4~5なんかも同じような状態だったので、何分の一かに直しました。が、またいつか変えるかも……。

ちなみに☆1→☆2は1万(Sランク1体)、☆2→☆3には5万です(3万にすればよかった……)。

いつかちゃんとした設定をお見せできればなと思います。


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