第4話

「パルムの街までは大体馬車で1日、休憩なしで歩けば5日、休憩しながら行くと一週間くらいだな。ふんっっ!」


ギルバートは時々現れる魔物を横一線に一薙ぎし、次々と蹴散らしていく。


「どうしますか?僕はそんなに急いでいないのでギルバートさん達に合わせます。」


「そうだな、我々もそれほど急いでいないから途中の街で休憩をとりながらゆっくり行こうか。」


**************


出発して4時間ほどが経った。


「うわぁ!森を抜けたぞ!


ギル!智也!街がある!」


景色がようやく変わり、ロビンが元気を取り戻した。


「ここはタレスっていう農村だ。


今日はここで泊まろう。


この街には一応ギルドがあるから途中の道の情報も調べるために寄ろうか。


酒場もあるだろうからご飯も済ませよう。」


三人はギルドへと向かった。



***********


「ご苦労様~。」


ギルバートが受付に声をかける。


「うわぁ!ギルバートさんじゃないですか!!!!!!


こんな田舎へどうしたんですか???」


「え?なんだって?


すげえ!ギルバートがいるぞ!」


「本当だ!やべえな!」


ギルド内がざわつき始める。


「今ギルド長をお呼びしますのでそちらでお待ち下さい。」


足早に受付嬢はその場を離れた。


「ギルバートさんってどんな人なんですか?」


近くにいたハンターに智也が話しかける。


「おい坊主、お前この国にいてあの青髪のギルバートをしらねぇのか?


王都を強襲したドラゴンの討伐、国際指名手配中の盗賊団の捕獲、未確認ダンジョン発見、古代遺跡の碑文解読等あげだしたらキリがねぇ。


今最も特級に近い男と言われているぜ。


ここ最近は特級のハンターは皆んな雲隠れしてるのか消息が掴めねえ。


実際に活動しているハンターの中では最強だと思うな。」


「ええー!ギルバートさん僕にそんなこと少しも言いませんでしたよ??」


「なんだおめえ!ギルバートのパーティーか?」


「あ、いえ、パルムに向かう途中に出会って一緒に行くことになったんですよ。」


「あのギルバートが同行を許可してるんだ。


お前には普通の人にはない何かがあるはずだ。


見たところそれ程まだ鍛錬はしてないみてえだが、一緒にいる間に死に物狂いで吸収しろよ。


呼吸から歩き方、眠り方一つとったって良い勉強になるはずだ。


可能性のあるお前が羨ましいぜ。」


純粋な羨望の目を智也にずっと向け続けたため、智也は居心地が悪くなりギルバートとロビンのいるテーブルまで行った。


**************


「ギルバートさん!今ハンターの方から聞きましたよ。


とんでもない人じゃないですか!」


「ほらいったろー!


ギルはめっちゃ凄いんだよ。


ギルバート先生って呼んだって良いんだよ!!」


ロビンが得意げになって大きな声で言い張った。


「こらこらやめなさい、私はみんなが言うほど出来た人間じゃないさ。


出来ることを手が届くところから頑張っているだけさ。」


「やぁ、ギルバートさん。わざわざ田舎のギルドに立ち寄ってくださってありがたい限りですな。」


ギルド長がやって来た。


「いえいえとんでもない。パルムまでの移動の最中であるから依頼をすることが出来ないのが申し訳ないです。」


「そんなことないですぞ。


ギルバートさんがこのギルドに来てくれることで暫くの間付近の盗賊などのならず者たちは近寄らなくなりますからね。


大きな犯罪の抑止力にもなってもらえることでしょう。


ですから図々しいのは承知でお願い申し上げます。


どうか静かに、ここにいる者たちに気づかれないように離れていただきたいのです。


行方がわかってしまうと盗賊たちは安心して襲ってきてしまいます故。」


「もちろんそうするつもりでしたからご安心ください。依頼を受けられない分それくらいはさせてもらいます。」


「ああ、ありがとうございます。


あまり何もない場所ですが精一杯おもてなしをさせていただきます。


ごゆっくりお休みください。」


「気を使ってもらって済まないです。


しかし、ありがたくお世話になろうと思います。」


話し合いが終わり、三人は受付へと戻った。







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