第74話 皇都でのお買い物
■北方大教会 転移の間
~第6次派遣3日目~
アイオミーとの話には時間が掛った。
ダイスケの時計の針はは15時前を指している。
「では、タケル殿、お願いします」
転移の間にタケル達を連れて入ったリーブスが、タケルの目を見ながら、試すような表情を浮かべている。
(なるほど、自分の目で確認したいということか)
タケルは頷いて、リュックから光聖教石(転移用)を取り出した。
「その聖教石は、光魔法の加工がしてあるのですか?」
「はい、あらかじめアシーネ様へ祈りを捧げています」
4人が中央に集まっていることを確認してから、目を瞑って皇都大教会を頭で描く。
「ジャンプ」
■皇都セントレア
皇都まで戻ったタケル達はそのまま教会を後にした。
リーブスが言うには東方大教会へは別の日に行くほうが良いらしい。
向こうの大司教は聖教石に大変造詣が深く、石を愛していると・・・
要するに石マニアなので、今から行くと間違いなく今日は帰してもらえない筈だと。
西條も同じ様なことを言っていたのを思い出して、東方行きは明日にしておく。
リーブスはいつでも連れて行ってくれるそうだ。
今のところは、目つき以外で気難しさはまったく感じない。
夕食までは2時間ぐらいは残っているので、皇都で買い物をする為に3人で歩いている。
タケルは編み上げブーツ以外の靴が欲しかった。
歩きやすいのだが、町歩きでは少し不自由で蒸れる感じがした。
ダイスケが見つけていた靴屋で、モカシンの靴とくるぶしまでのハーフブーツを3人分買った。
全て皮製だが、ハーフブーツにはヒールが作られていて歩きやすかった。
お代は6足で大銅貨1枚小銅貨5枚(約15,000円)と言われたので、大銅貨1枚(約10,000円)で手を打つことにした。
(俺たちだけ買うとナカジーが怒るかもしれないけど、サイズが判らん)
ダイスケが服を見たいと言うので、ついて行った。
(寒いところの服が必要だな)
衣料品店は、作りつけの棚に乱雑に服が置いてある。
男女別や種類別にもなっていない。
置いてあるものを片っ端から見てみたが、寒い場所で役立つものは無かった。
ダイスケは綿素材のシャツとステテコみたいなものを見つけてきた。
「これなら、下着兼パジャマでいけるんじゃないスか?」
「オォー、いいねぇ。じゃあ3セットぐらい買っとくか」
3セット×4人分で大銅貨一枚(約10,000円)と吹っかけられた(?)ので、小銅貨5枚(約5,000円)で手を打った。
(なんとなく、まだ高い気がする)
(だが、冬用品は無いな・・・北方州都で調達かな)
最後に武具屋に立ち寄った。
ダイスケもアキラさんも武器は要らないと言う。
ダイスケは新しい刀をもらったばかりだし、アキラさんにはゴッドグローブが合っているのだろう。
結局、3人で防具だけを物色している。
教会の倉庫と違って、同じ籠手や胸当てでも素材の種類が多いようだ。
鎖帷子もあったので、持ってみたが想像以上に重かったので見送りにする。
カウンター奥の壁に綺麗に光る籠手と脛あてが並んでいた。
「あそこの籠手を見せてもらえますか?」
「あれは、小銀貨2枚(約20万円)だが、金はあるのか?」
店員はタケルの服を上から下まで見ていた。
「小銀貨1枚なら払えますよ」
「これは、白金で加工した籠手だ、鉄より軽くて強いぞ」
店員が壁から外した籠手を持ってみると、鉄製の半分ぐらいの重さに感じる。
「脛あてはいくらですか?」
「小銀貨3枚(約30万円)だ」
「両方で小銀貨2枚にしてください」
「それは無理だろう。二つで小銀貨5枚なんだぞ、小銀貨4枚なら・・・」
最終的に小銀貨2枚大銅貨5枚(約25万円)で手を打った。
小銀貨1枚と言ったタケルに籠手を見せた段階で半値以下は確定していた。
籠手はダイスケに、脛あてはアキラさんに渡す。
二人にはこれからも前衛で頑張ってもらわないと。
ナカジーの顔が浮かんだが・・・、次回にすることにした。
買った荷物を宿へ置いて、マリンダと一緒にイースタンの屋敷へ向かった。
マリンダの持つ地図でたどり着いたイースタンの屋敷は、まさに『お屋敷』だった。
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