第11話 拠点

次の日の朝


「……ちなみに…いつまで居座るつもり???」


この宿の店主…よもぎが迷惑そうに言う


「まだ 1日目だ」


「1日も泊めてやったんだ…言っただろ俺は人助けは趣味じゃないって」


気分が悪い


そう言いつつ朝餉を出してくれる


「……一つ気になったんだが…」


「なに?」


「この食事って……まさか」


昨日夕餉を食べた後、頭の中をずぅっと巡っていたこと…


そう言えばこいつ狐だった


「……泥団子か狐の糞尿かって?バカいうな!そんなことしたらこの宿は苦情の嵐だよ!」


野狐じゃあるまいし!!


ご飯をよそいながら怒る


「意外と真面目かよ」


まあ、腹壊してないから大丈夫か


「……ところで、君らどうしてこんな状態の京に来たんだ?陰陽師でもないが……生活しずらいだろうに」


それは……


「それは…なんでだ?なあ、ヒーロ」


グイグイと裾を引っ張られる


「……特に意味なんてねぇよ」


意味なんてない……か


「ふぅん?狐に嘘つくなんていい度胸してんな」


蓬の紅い双眸と目が合う


なんだ……頭がぼんやり…する


『緋彩クン本当は何をしに来たんだ?』


なんだ??口が…勝手に…


「あ、……く…認めさせるためだ…」


『何を?』


ヒーロが苦しそう…!これが神使にもなれる狐の力…?とめないと…でもヒーロの本心を聞くいい機会なのでは……?


そんなことを考えていると緋彩が話し始める


「俺は間違っちゃいない…!人が憎い…!ちゃんと…ちゃんと……言われた通り…に……」


ガクンと床に倒れる


「ヒーロ!!!ど、どうしたんだ?!」


「双方体力の限界…俺ヘタクソだからね体力結構使うんだ…でも、にかかるなんて相当わかりやすい性格なんだね緋彩クンは」


人が憎い…ちゃんと言われた通りに……か


「同じこと言うなんて……。実は相当な訳あり?」


「……青丹は知らない、緋彩に買われただけだから」


必要ないことは深く聞かないこれは鉄則


「……へぇ 金にしか目がない祓い屋の割にマトモそうな事を」


「ジジイは金が好きだ!けど…悪い人ではない……はず…青丹は、金あんまり好きじゃない」


ふーん


「いいね 気になり始めた、君らの事」


「……どういうことだ?!」


蓬は立ち上がりニタリと笑う


「ここを拠点にするといい」


「急になんで…」


「訳ありと言えばこの俺、蓬さんなのだ!」



訳ありといえば??


「ちょっと意味が分からない!!」


「…少しの間世話してあげよう!」


少しの気まぐれ……きっとそれだけ


「裏なんてないとも!全く!」

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