第11話 上辺

 無秩序に散らばった大小の瓦礫と鋭利なガラス片。朦々とした土埃が舞い上がる中、家屋に背中から突っ込んだ俺は仰向けに横たわる。

 胸を激しく上下させながら、頭を持ち上げ家屋に開いた大きく歪な光の穴を睨む。


「ハッハッハッ、噂に聞く半端者の力とはこの程度か? もっと本気を出してこい!!」


 腰に手を当てて仁王立ちしている、腰布を巻いているだけの直立するサイ。

 一見、原始的に見える獣人が豪快で余裕を感じさせる笑い声を辺りに響かせる。


「くっ、くそっ……」


 思わず、右の拳を強く握る。ふらつく身体に力を込め、俺は自分が破壊してしまった人間の家屋から出る。

 再度奴の身体を見るが、やはり傷1つ負ってねぇ。

 鋼並みの強度を誇るらしい奴の肉体には、俺の怪力を活かした打撃も通じず、頑強さゆえか生半可な炎弾では傷1つつかねぇ。遠距離攻撃の手段は持ってねぇのが救いだが、俺をも上回る怪力を活かした突進と鋼のような硬度を誇る肉体の防御力は脅威だ。

 奴の突進に何度も吹き飛ばされ、瓦礫に突っ込むたびに鋭利なガラス片で傷つき、建物の強固な壁面に叩きつけられた身体は既に悲鳴を上げていた。


「どうした!! やはり半端者の力とは、この程度なのか!!」


 くっ、こうなったら!!

 よろめきながらも俺は、残っている炎の力大半を全身に纏わせる。

 以前鷲野郎の盾を破った時と同じように、てめぇの頑強な肉体を少しずつ溶かして突破してやる!! その余裕の面を、本気にさせてやる!!

 空中に跳躍した俺は、全身をドリルのように高速で回転させ、紅蓮の竜巻となり突撃する。


「ブレイブトルネード!!!」


 闘志と怒りを込めた紅蓮の竜巻が、奴の灰色をした強固な胸部に突き刺さる。


「ぐっ、むうぅ!!」


 赤い火花が飛び散り、人間の女が放つ金切り声に似たけたたましい轟音が響く。


 もう少し、もう少しで!!

 だが、奴は俺の全身を使った刺突を両腕で強引に回転を止めちまった。結果俺は、空中で奴に胴体を掴まれる形で身動きが取れなくなる。


「なっ!!!」

「残念だったな半端者!! だが、少しは痛かったぞ!!」


 サイ野郎が俺を背中から地面に叩きつける。無造作に叩きつけられた俺の背中に激しい衝撃が走る。


「ガッ、息……が!!!」


 一瞬息が詰まり対応が遅れた俺の腹部を、サイ野郎の巨大な足が即座に踏み抜き地面に亀裂が走った。


「ぐはぁ、がぁぁぁあああ!!!」

「強者との戦いこそが俺の望む物!! 中々楽しかったぞ!! 俺の肉体に傷をつけられる者はそうそういないからな!!」


 サイ野郎は異能の行使で体力を消耗した上、蓄積したダメージから身動きのとれねぇ俺の身体を頭上に軽々と持ち上げる。


「最後は俺の頭にある角で刺し貫いてやろう!! 中々の強さだったが、これで終わりだ!!」

「アクアハンマー!!!」


 頭上に掲げられた俺の身体が今まさに刺し貫かれようとした瞬間、聞き覚えのある声がした。


「ゴッ!!」


 技名を叫ぶ声と同時にサイ野郎は吹き飛ばされ、その場に残った俺は地面に力なく落ちるしかなかった。


「ライオンのおじさん、大丈夫!!」


 アキラの声が遠くに聞こえると同時に、必死に俺の方へ走ってくる靴音が聞こえる。


「アキ……ラ。なぜ、お前がここに? 戦場に……近づかねぇと……約束したじゃねぇか!!」

「……ごめん。でも、テレビの緊急ニュースでおじさんが負けそうだって聞いたから。それを虎のおじさんに教えて、一緒に来てもらったんだよ!!」

「俺がお前を殺すまで、お前には生きていてもらわねば困る。勝手にくたばりかけるな!!」

「……助かったぜ。アキラ、タイガー!!」


 タイガーはなんとか起き上がり片膝をついたまま礼を言う俺に対して、歯牙にもかけないというふうに顔を背けて鼻をならしただけだった。

 そんな俺達に向かって、既に臨戦態勢のサイ野郎が面白そうに叫ぶ。


「面白い!! 我らに歯向かう半端者が2人揃ったか! これで少しは楽しめそうだな!!」

「フンッ、人間等を支えとしている奴と一緒にするな!! 貴様如き、俺1人で」


 俺は立ち上がると、タイガーの左肩を後ろから掴む。


「待てタイガー! 奴には俺が放った最大級の攻撃すら通じなかった。お前が単独で挑んでも、勝てるかわからねぇぞ!!」

「では、どうするというのだ!!」

「……俺1人では出来ない事でも、お前と一緒なら出来る!! まず、奴の硬い表皮をどうにかしなければならねぇ! そのためには」


 俺はサイ野郎に聞こえないように、声を小さくしてタイガーに作戦を伝える。


「……わかった。だが、1つ約束すると誓え!! この戦いが終わったら、明日俺と本気で戦え!! この戦いで貴様が負った傷は、俺が持つ水使いとしての回復能力で治してやる。それが条件だ」

「……俺は、お前とは戦いたくねぇ。だが、いいだろう。ここで獣人共に倒されたら、お前を説得する事も出来ねぇからな」


 アキラを背にして、俺とタイガーはまるで相棒のように並び立った。


「作戦会議は終わったか? なら、こちらから行かせてもらうぞ!!」


 サイ野郎が俺に角を向けて突進してくる。鋭利な角の先端がみるみるうちに迫ってくるのに対し、俺は奴に右手を向けて構える。


「フレイムドラゴン!!!」


 俺の右手から放たれた熱量を最大限まで高めた真紅の炎龍。既に異能の力を使いすぎていた俺の身体は、所々肉が裂け始め血が流れ始めている。苦痛のうめき声が思わず出ちまったが、攻撃の手を緩めるわけにはいかねぇ!!

 俺の炎をまともに受け続けて多少速度を落としたが、奴は着実に俺の方へ近づいてくる。次の瞬間、俺は炎の放出を止めて即座に背後のアキラを抱きかかえ右に飛び、タイガーは左に逃れた。

 かなりの熱を帯びたサイ野郎が、俺達の真ん中を一直線に通り過ぎる。


「ハァ、どうした? もう手詰まりか?」


 わずかに息を荒くするサイ野郎に、タイガーが口元にだけ笑みを浮かべて答える。


「これでいいのさ!! ウォータードラゴン!!」


 両手をサイ野郎に向けたタイガーが、巨大な水龍を放った。渦巻く水龍が奴の身体を飲み込み、水龍が消滅する。うめき声を放つ奴の胴体を見ると、一点のひびが入っていた。


「タイガー、合わせろ!!」


 目にも止まらぬ速さでサイ野郎との距離を詰めた俺とタイガーが、拳を大きく振りかぶり強烈な拳を叩き込む。


「グッ、ゴホォッ!!!」


 歪な風穴が開いた胴体を押さえたサイ野郎が光の粒となり消滅し始める。


「や、やるではないか!! 半端者にもかかわらず、よくぞこの俺を! お前の力、認め……てやろう、ブレイブ……レオ」

「!!!」


 サイ野郎が光の粒となり消滅した後、俺は内心サイ野郎が放った最後の言葉に認めたくねぇ感情を感じていた。

 獣人が……俺を……認めてくれた? この俺……を? 内心認めてはいけねぇ高揚感を感じながら、俺は異能を使用しすぎた反動でうつ伏せに倒れ込み意識を失った。


***


「……」


 ゆっくり意識が覚醒していき視界がはっきりした時、俺は街にあるビルの屋上に仰向けで寝かされていた。異能の行使による体力の消耗と肉体の限界。それらゆえに傷つき重くなっていた身体だったが、傷が塞がっている。変身は解けているが、幾分、身体も軽くなったようだ。

 上半身を起こした俺の傍には、膝をついたアキラと俺を敵と思っている事がわかるように顔を背けて腕組みをしているタイガーがいる。


「愚かだな、貴様は。人間のために異能を行使しすぎ、自分が倒れるとは」


 内心わずかな苛立ちを感じて、俺はタイガーから顔を背ける。


「……俺のしたいようにしてるだけだ。お前に何を言われる筋合いはねぇだろ」

「……それもそうだ、な。そんな事より、約束は守れよ!!」

「虎のおじさん、ライオンのおじさんは」


 俺は左手でアキラの右肩を掴み、制止する。


「いいんだ、アキラ。だがタイガー、俺はお前の説得を諦めてねぇ。俺は、お前と本当の仲間になりてぇんだ!!」

「フンッ、無理な事を!! せめてもの情けだ。明日の戦いは、お前の信条に従って人気の無いこの街の海辺で行ってやる。必ず来いよ!!」


 タイガーが跳躍してビルの屋上から去った後、俺は俯き消滅間際のサイ野郎が言った言葉を思い返していた。

 獣人が、俺を半端者と蔑むだけだと思っていた獣人の1人が、認めてくれた。この俺を……。

 俺は頭を強く振る。

 ……認めちゃいけねぇ。奴の言葉に何を感じたのかを。俺が守りてぇのは、アキラのような強き心を持つ人間なんだ。獣人は敵でしか、ねぇ……。


「ライオンのおじさん、どうしたの? 大丈夫?」


 俺の顔を覗き込んで心配してくれるアキラの、友の信頼を裏切っているように感じられて、俺は目線を合わせずに俯いたままつぶやく。


「…………ごめんな、アキラ」

「何が?」

「……いや、何でもねぇ。それよりアキラ、早く家に帰れ。母さんが心配するぞ!! ……それに、今は少し1人になりてぇんだ」

「……うん、わかった」


 アキラは心配そうな顔で俺を見た後に背を向けると、俺が渡した空間転移の鍵を使って屋上を去る。

 何を、考えている……。何を感じている。獣人達にも「心」がある。それを理解した上で、俺は獣人を殺し人間を守る事を選んだはずだ。なのに……。

 1人になった俺は、俯いたまま罪悪感を感じているのが誰なのか理解できずにいた。

 いや、本当はそれをはっきりさせるのが怖かったのかもしれねぇ……。


***


「やはり……一筋縄では……いかんか」

「くっ、もう止めろタイガー!!」


 翌日の正午。タイガーに連れてこられたアキラをよそに、俺とタイガーは昨日と同じ街の海岸で向かい合う。切り傷だらけの身体で拳を握りファイティングポーズをとる俺に対し、身体の所々が焼け焦げた同胞は、氷で形作られた片手持ちの長剣を真っ直ぐ構えている。


「ライオンのおじさん、虎のおじさん、もう止めてよ!!」


 互いの異能で傷ついた俺達に向かって、アキラが悲痛な叫びを上げる。俺の友であり、タイガーが守護の対象としているアキラがこの場にいるのは、アキラが俺の友であるがために獣人達に狙われる可能性を考えれば当然と言える。


「人間などという存在に自らの存在意義を委ね、命すら懸ける偽善者と話す余地など無い!!」

「俺が命を懸けるのは、人間が守るに値する存在だと認めているからだ!! ……いや、少し違うか。俺は、俺に居場所をくれた人間が、俺自身を見て受け入れてくれたアキラが好きなんだ!! タイガー、お前はアキラと共に過ごす中で本当に何も感じなかったのか?」

「……」

「俺はそんな人間を滅ぼそうとする獣人共を絶対許さねぇ!! だがタイガー、お前は獣人共とは違うはずだ。人間の世界で育ったお前なら、人間の強さもわかってるはずだ!! 何より、俺達はこの世にたった2人かもしれねぇ半獣人。だから俺は」


 俺が放った言葉の最後を聞いたタイガーは、突然眉を吊り上げた。


「……やはり、そうか。貴様も、今まで俺が出会ってきた醜い人間共と同じだ!!!」


 タイガーは叫び、氷の長剣を構えて俺に向かって走ってくる。何が奴を激怒させたのかわからねぇまま、俺は繰り出される斬撃を紙一重で躱し続ける。

 次の瞬間、長剣が突き出されたのに対し俺はそれを躱してタイガーの右腕を絡め取る。両手でタイガーの右腕を掴んだまま、俺は自身の両腕に強力な熱を発生させる。


「くっ、ぐあぁぁ……」


 俺の腕が発する強力な熱に耐えかねて、タイガーは氷の長剣を手放す。だが、タイガーはしぶとく俺に掴まれていない左手を俺に向けると水の弾丸を放ってくる。


「ぐあっ!!」


 俺は顔面に水の弾丸を受け、吹き飛ばされた。双方ダメージを負った俺達は、傷ついた身体で再び戦闘態勢をとる。


「……俺が、半獣人を迫害する人間達と同じだと?」

「そうだ! そこにいる人間のガキが以前言っていたな。貴様とそのガキはお互いの強さを認め合っていると。だが、我らは互いを全く知らない、認め合ってなどいない。そんな者同士が、どう分かり合えるというのだ!!」

「俺達は同じ半獣人同士、同じ境遇の同胞だ。和解したいと願うのに、それだけでは不足なのか?」


 俺の言葉にタイガーは歯ぎしりをすると、青い冷気を身体の周囲に立ち上らせる。


「消えろ!! 俺の目の前から!! アイスウェポンズ!!!」


 タイガーの叫びと共に、周囲に出現した無数の武器が俺に向かってくる。氷で形作られたそれらは、大剣、短刀、薙刀、槍など様々な種類があった。それに対し、俺も自身の周囲に熱量を高めた無数の炎弾を纏い応戦する。

 なぜ、なぜなんだ?

 そう考えながらも、俺はタイガーの攻撃に対し無数の炎弾を放つ。相殺を試みた次の瞬間、俺とタイガーの間に漆黒のフード付きマントを身に着けて黄金のライオン仮面で素顔を隠した謎の怪人が割って入った。


「ファイヤーウォール!!」


 怪人は自身の左右に青い炎の壁を作り出すと、俺の炎とタイガーの氷を相殺する。


「なっ!!」

「何者だ、貴様!!」


 突然俺達の戦いに乱入した謎の怪人に驚きながらも、俺はタイガーの様子を窺った。……少なくとも奴の差し金ではねぇらしい。青い炎の壁が消失した後、謎の怪人は静かで深い男の声で俺達に問う。


「お前達、こんな事をしている場合なのか? 今こうしている間にも、ビーストウォリアーズの獣人達が攻めてくるかもしれんというのに。そうなれば、お前達は一網打尽だぞ!!」

「……どこの誰とも知れん獣人に、とやかく言われる筋合いは無い!! そこをどけ!!」


 驚きの表情から一転、タイガーはさっきとは異なる形状の氷の大剣を作り出すと、謎の怪人に斬りかかる。だが、怪人は青い炎を自身の左腕に集中させると。そのまま氷の大剣を受け止める。


「な、何!!」


 怪人の青い炎を纏った左腕に氷の大剣が触れた途端、大剣はあっという間に溶けちまった。タイガーの氷で作り出された武器は、大抵の熱を寄せ付ける事はねぇらしい。

 有利に立てるはずの俺ですら、タイガーの氷で形作られた武器を炎で溶かす事ができないせいで、避け続ける事を強いられていたのだ。


「タイガーアベンジャーと言ったか。そこにいる人間の子供を連れて失せろ。お前達3人の命を奪うつもりは無い。私はそこの炎使いに少し用があるだけだ」

「……奴は俺の獲物だ! 殺さんというのは本当だろうな?」

「本当だ。それとも、今私と戦い無駄に命を散らすか?」


 タイガーはまだ何か言いたげだったが、自身の能力を無力化する謎の存在を前に撤退を決めたらしい。


「くっ、俺は諦めんぞ! 貴様らを殺し、獣人達の中に居場所を作るまで! 人間のガキ、行くぞ!!」

「う、うん……」


 タイガーに促されたアキラは、その場を立ち去ろうとした。だが、途中で立ち止まり俺達の能力を相殺した謎の存在に敵意の視線を向けると口を開く。


「ライオンのおじさんを殺さないっていうのは本当に本当なんだろうな?」

「私はこの場にいる者で1番格上の力を持っている。お前の案ずる者を殺す気なら既に殺している。少しは信じる気になったか?」

「なら、あんたはライオンのおじさんの味方なの?」

「……それは、まだ言えん」

「……確かに、ライオンのおじさんを殺す気ならとっくに殺そうとしてるか……。でも、もしライオンのおじさんを殺したら、俺はあんたを絶対許さない!!」

「……」

「ライオンのおじさん、無茶しないでね」

「おう!! またな、アキラ!!」


 アキラを不安にさせたくねぇ一心で、俺は強がりの笑顔を作る。数ヶ月も会ってなかったんだ。本当はもっとアキラと話したかったが……な。タイガーとアキラの2人が空間転移の鍵を使い、光に包まれて海岸から去る。

 アキラが無事に去った事に安堵しながら、俺は謎の怪人に向かい合う。


「良い友をもったな……」


 若干優しげな声色に聞こえたのが気になったが、気のせいか?


「……てめぇは一体何者だ?」

「それも、まだ言えん。私はお前達2人の戦いを止める為にここに来た」

「今の力、明らかに獣人の持つ異能の力だ。なぜ、ビーストウォリアーズの獣人が半端者と忌み嫌う半獣人同士の戦いを止める?」

「お前達2人が、共にビーストウォリアーズと戦う事を願っているからだ」

「!!!」

「怪しんでくれても、信じてくれなくても構わない。だが、私の望みはお前と同じ、ビーストウォリアーズから人間を守る事なのだ」

「……」


 ……いきなり現れて戦いを止めたと思ったら、今度は人間を守るだと? 信じられるか!!

 俺は猜疑心に満ちた目を謎の怪人に向けると、右の人差し指で奴を指さし宣言する。


「味方かどうかもわからねぇ獣人を信用はしねぇ。格上の炎使いだろうが、人間を傷つけたら即座に殺す!!」

「それでいい、炎使い。だが、私の目的の為にも1つ確認しておこうか。今の戦いを見る限り、少なくともお前の方はタイガーアベンジャーと名乗る自身の仲間と和解したいのだろう?」

「……だったら、どうした」

「ならば、お前はタイガーアベンジャーの事を1人の存在としてしっかり見る事だな。タイガーアベンジャーが怒るのも無理はない」

「どういう意味だ?」

「それは自分で理解すべき事だ。では、またどこかで会おう……」


 謎の獣人も空間転移の鍵を持っているのか、俺に背を向けると光に包まれてその場を去っていった。1人になった俺は、不規則な波しぶきが放つ音の中で腕組みをする。

 ……タイガーアベンジャーの事を1人の存在としてしっかり見る事? 俺はアキラが俺にしてくれたようには、あいつを見てねぇのか?

 簡単なようで難しい助言を受けた俺は、しばらくその場で頭を悩ませていた。

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