第52話
僕がそう思った瞬間エマはポケットに入れていたケータイを取り出し、ケータイケースの横の部分についている四つの穴に指を入れて拳を構え、二人に向かって猛ダッシュして行った。
キーホルダーかなんかを付ける穴なのかなぁ~なんて思っていたケータイケースは、カイザーナックルだった!
エマ!
キミ何者なの?
「キサーン、コノ、ボテクリコカッソー(注・おまえボコボコにするぞ、の某九州弁)」
エマは男に向かって走りながら叫び声をあげている。
いかん、女の子たちを危険な目に合わす訳にはいかない!
僕が戦うぞー!
僕はやけくそになって走って行った。
男は僕たちに気付いて走り去ってしまった。
しばらく後を追ったが逃げられてしまった。
後ろでエマが僕を呼んでいる。
すぐさまエマの所へ戻ると、タヌ子さんが倒れていた。
「タヌ子さんっ! タヌ子さんっ!」
呼んでもタヌ子さんはグッタリしてうめき声をあげるだけだった。
「救急車!救急車を呼ぼう! あ! ヒロキさんに連絡が先か?」
僕があたふたケータイを探そうとしていたら、タヌ子さんが目を薄っすら開けた。
「ウッチー、大丈夫だから、ウッチーの家に連れて行ってもらえないかな?」
僕は病院に行った方がいいんじゃないかと心配だったが、タヌ子さんがどうしてもというので、エマと二人でタヌ子さんを抱えあげてタクシーでうちへ向かった。
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