第39話
「とりあえず、大人の癒しの空間なわけよ。わかる? ストレスがぶっ飛ぶ空間よ! まずね、言っとくけど、俺は大人の隠れ家の裏の裏をいきたいから! あ、ちゃんとメモっといてよ! 俺の話すこと全部大事なコンセプトだから!」
サトシさんは、前置きも無しにペラペラと話し出した。
隠れ家の裏の裏って、それは表、そのまんまじゃねえのか? という疑問があるが、こういうタイプには、あまりつつくとロクな事が無いというのを経験上学んでいるのでスルーしとこう。
「ま、おやじの料理は旨い。けっこう頑張ってたと思うよ。でもさ、こういう居酒屋って、どこでもあんじゃん! まんまじゃん! サプライズが無いわけよ。」
大将の血管が膨らんでいくのがわかりながらも、僕は戦々恐々とサトシさんの話をおとなしく聞いているしかない。
「内装も外観も、ドバーっと変えなきゃなんねえよな。このしみったれた町には無かったようなオシャレで癒しの大人の男女が集う空間を! こんな夜でも昼間みたいな明るいとこじゃ、癒しもなんもないもんな。……」
サトシさんの毒舌は延々と続く。
「き、きさま、何をぬかしとんじゃー!!!!」
大将は叫ぶと気分が悪くなって、おかみさんに支えられて奥に行ってしまった。
おかみさんが私らに構わずどうぞ、というので会議は続行された。
会議と言ってもサトシさんが延々と理想を語るだけだった。
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