第28話 滅亡と休息
戦場を寝室に移した三日後、戦はまだ続いていた。今はその小休止中。
「リクト……様……。凄かった……。こんなにいっぱい……ふふふっ……」
「ミハルは気絶しちまったか。チグサ、もう一度聞くが本当に地球に帰らなくても良いのか?」
リクトはチグサを抱く前に地球に帰らないかと尋ねていた。しかしチグサは一切迷う事なく首を横に振った。
「はいっ! 私は……一生リクト様とこうしていたいですっ!」
「そっか。チグサが良いならそれで良いさ。もう戦わせるなんてしないからさ、これからはのんびり子供でも作りながら人生楽しもうぜ」
「子供……。い、良いのかな? 私まだ子供だよ?」
リクトはチグサと繋がりこう言った。
「良いんだよ。こっちじゃ成人してんだ。それとも何か? もっとこれを楽しみたいとか?」
「……はいっ! もっとリクト様とこうしていたいですっ! だから……もうちょっとだけ避妊魔法を……んっ」
「オーケーだ。ならもっと楽しもうか」
「は、はいっ!」
ミハルは気絶したフリをしていた。そして枕に顔を埋めながらボソッと呟いた。
「チグサ姉……、良かった……ふふっ」
「お~い、ミハル? いつまでサボってんだよ。チグサと交代だ」
「ん、チグサ姉。代わる」
「は~い」
チグサとミハルが入れ替わった。
「私はアレまだだから避妊はいらない」
「知ってんよ、そらっ!」
「んみゅぅぅぅっ! へ、ヘンタイだ……!」
チグサはミハルを見てこう囁いた。
「幸せだね、ミハル……。生きてて……良かった……!」
「チグサ……姉っ……! うんっ! でも……これは譲らない」
「へ?」
「リクトから出る白いのは全部私の!」
「だ、だめだよっ! こればっかりはいくらミハルでも譲れないよっ!」
ミハルは何度目かの絶頂を迎えつつチグサに言った。
「なら……どっちがいっぱいしてもらえるか勝負!」
「いいよっ! リクト様は私の方が良いって言ってたし」
「なっ……。ヘンタイお兄さん?」
「あ~……いや、その……。ミハルのはまだ浅くてな。逆にチグサのは全部入るって言うか……。ヤバいんす」
「む~っ! ズルいっ! 私だってチグサ姉くらいおっきくなれば……!」
空いた身体にチグサが跨がってきた。うん、やはり良い。
「リクト様と私、歳一個しか違わないし? 相性良いんですよっ。私はもうリクト様以外に身体は許しませんのでっ!」
「ああ、その事だがな……。この世界には成人の儀式ってのがあってだな。男子を産んだら母親が筆下ろしをしてやるらしいぞ」
「「え?」」
二人は固まっていた。するとそこにギュネイ王国から飛んできた母親、つまり妻子たちが乱入してきた。
「リクト!」
「あ、母さん」
「「え? わ、若いっ!」」
母親がリクトに抱きついた。
「怪我はない!? 大丈夫!?」
「ちょっ……母さん! 二人が見てるって」
「あら?」
母親はリクトに群がる二人をチラリと見た。
「リクト、また妻を増やしたの?」
「うん。ミハルとチグサ。帝国に召喚された勇者だよ」
「「は、初めましてお義母様!」」
二人はベッドに正座し頭を下げていた。
「ふふっ、初めまして。家のリクトは底無しだから大変でしょう?」
「い、いえっ! むしろそれが良いと言うか……」
「ん。いつまでも楽しめる」
「あらあら、可愛いお嬢さんたちね。リクト、大事にするのよ?」
「もちろん」
二人はリクトの妻達を見た。
「本当にハーレムって成立するんだねぇ……」
「ん。驚いた」
そこにバロン王国の王女達まで乱入してきた。
「「「「リクト様~! お疲れ様でした~!」」」」
「ん?」
寝室はカオスだった。
それから一ヶ月後、リンカネット帝国の町に潜伏していた皇帝を民がバロン王国兵に突き出し、リンカネット帝国の皇帝は民の前で処刑された。バロン王国は主要機能をそのままリンカネット帝国の地へと移し、バロン王国のあった地は全てリクトに与えられる事になった。そしてリンカネット帝国の生き残った文官は何故かこのリクトの治める地へと送られてきた。
ちなみに、皇帝の親族は全員奴隷に落とされ、扱いはリクトの預りとなる。最初は全員皇帝と同時に処刑になる予定だった。しかし、皇帝の親族の男はあの時戦場に出て戦死していた。では何故助けたのか。
「リクト様~、遊ぼ~!」
「こ、こらっ! 私達は奴隷なのよっ! 口のきき方に気を付けなさいっ!」
まだ幼い娘を母親がたしなめていた。だがリクトは笑顔でそれを制した。
「奴隷なんて形だけだよ。よっと」
「わ~たか~い!」
「も、申し訳ありませんっ!」
「気にするな。俺は結果的にお前たちから父親を奪ってしまった。悪いとは思っていたんだ」
「いえっ! 戦ですし……。それに……今ではこうなって良かったと……。新しい命もいただきましたし……ポッ」
リクトは文官含む全てのリンカネット関係者を魅了していた。最初は敵意剥き出しだった女たちも時間を重ねるごとにリクトに心酔し、心から従うようになっていった。
「リクト様~、今日は何して遊ぶ~?」
「そうだなぁ~。何がしたい?」
「ん~……お医者さんごっこ! お注射して~」
「こらっ、それは母親には内緒だって言っただろ?」
「あ……今のナシ!」
「リクト様? そんな小さな子にまで……?」
「あ、いや……。だって可愛いし」
「冗談です。私達の命があるのはリクト様のおかげ……。リクト様、今後とも末永くお側に……」
リクトは笑って言った。
「もちろん。政治なんて難しい事は君たちに任せる。ここを良い領地にしてくれよ?」
「はいっ、お任せ下さいませ」
リクトは面倒事を丸投げするために皇帝の妻達を引き取ったのだった。最初は送られてきた文官達の印象をよくしようと考えたのだが、それは身体一つで解決できた。加えて敵であった王族を処刑しなかった優しさを文官に見せ、結果更なる結束を強めるに至る。
それもこれも全てが怠惰に暮らすために考えた結果だ。
戦も終わり、リクトは再び怠惰な生活を目指すのであった。
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