カク夫くんとヨム子さんのまったく役に立たないカクヨム講座

夏井優樹

第1回 ネット小説ってなーに?

カク夫「みなさんはじめまして。ネット小説家志望のカク夫です」


ヨム子「どうもはじめまして。ライトノベルが好物のヨム子です」


カク夫「このエッセイではボクとヨム子さんがよくあるネット小説の創作論や小噺について会話形式に紹介していくよ!」


ヨム子「過度な期待を持っている方はこの場でお引き取りください。はっきり言ってまったく役に立ちませんので」


カク夫「まあまあヨム子さん。そう言わずにさっそく記念すべき第1回のテーマについて教えてよ!」


ヨム子「そうね。それでは記念すべき第1回は『ネット小説とは?』にしましょう」


カク夫「うーん。そもそもだけど深く考えたことはないなー!」


ヨム子「そんなことを言っていたらどこぞの誰かさんみたいにすぐ底辺作家の仲間入りよ」


カク夫「それはだけイヤだ! ボクはランキング常連の人気作家になりたいよ!」


ヨム子「それでは『ネット小説』について解説してあげる前にカク夫くんにとってネット小説ってどんな存在か教えてもらえるかしら?」


カク夫「えーっと……気軽に読める小説って感じかな?」


ヨム子「そうね。それこそ『ネット小説』の特徴よ。通勤途中や通学途中に気軽に短時間で読めるというところが強みなの」


カク夫「ボクも通学途中に電車の中で読んでるよ!」


ヨム子「いまはスマホがあればどこでも誰でも見れるわよね。そういった意味では『ネット小説』はファーストフードと思ってもらえればいいわ」


カク夫「ふむふむ。ネット小説はファーストフードね……メモメモ……


ヨム子「対象的に出版社の新人賞を受賞した『書籍化小説』はレストランのフルコースと思ってちょうだい」


カク夫「同じ小説なのに違いがあるの?」


ヨム子「大アリよ。この2つは小説という表現方法こそ同じだけど、求められているニーズがまったく違うの。『ネット小説』は短時間で読めるシンプルな話。『書籍化小説』はじっくり時間を掛けて読む話といったところかしら」


カク夫「たしかに書籍化小説は電車の中より自宅とか図書館とか時間を取れるときに読むことが多いかも!」


ヨム子「そうね。だからこそネット小説で人気を得たいならニーズを満たすことがなにより大事よ。例えば、書籍化を目指して新人賞に応募した作品をネット小説にアップする作者って結構たくさんいるでしょう。そういった作品は1つのセンテンスが長い傾向にあるから読めば読むほど面白いのだけど、実際のところは人気が出た作品は少ないのよ。その理由が分かる?」


カク夫「うーん……実際にボクが途中で読むのを止めちゃうのは『展開が遅い』からかな?」


ヨム子「その通りよ。新人賞に応募される作品は大体80~150ページの作品が多いの。文字数にすると総じて80000~150000字ね。そのページ数の中で1つの作品として起承転結をハッキリさせないといけないから、いくつかの話数に分けてガッツリとイベントを書かないといけないし、そのせいでどうしても序盤がスローペースになってしまう傾向にあるわ」


カク夫「言われてみればそうかも!」


ヨム子「さっきも言ったけどネット小説はファーストフード的なニーズが求められているのよ。それなのに序盤に時間を掛けてしまうと読者のニーズには応えられていないことになるわよね?」


カク夫「そっか! 読者はサクッと読める作品を求めてるからね!」


ヨム子「ええ。だからカク夫くんが人気を得たいなら目指すべきは常に起承転結を1話で表現することね。まあ、それを分かっていても実践できない底辺作家もいるのだけど」


カク夫「えー? 誰?」


ヨム子「ほら。ナツイさん。こっちにきなさい」


ナツイ「……はい」


ヨム子「このナツイさんの作品は典型的な新人賞向けに書かれたものね。だから序盤がスローペースだし、他の人気作家なら1話で終わるような話に10話もかかってしまうのよ」


ナツイ「……ええ」


ヨム子「しかも新人賞向けの話を無理やりネット小説に転用しているから1話毎の切り方も雑すぎる。あなた本当に読む人の気持ちを考えているの?」


ナツイ「……返す言葉もありません」


ヨム子「そんなわけでカク夫くん。あなたはこんな底辺作家になってはダメよ」


カク夫「うん! ナツイさんを反面教師にしてがんばるよ!」




☆本日のおさらい☆


・ネット小説で人気を得たいなら『1話で起承転結を書く』べし!!


・序盤をダラダラと書いてしまうとそもそも読んでもらえないぞ!!

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