無知の蝋燭

 こんな夜だから、無知の蝋燭を焚く。

「今日も焚いてるんだ」

「もちろん!」

 妹が私に近づいて、一緒に煙を吸う。柑橘系の爽やかな香りが身体を包んで、全てが無知になる。

「お姉ちゃんは何色?」

「黒かな!」

こんな夜だから、自分を無にして世界を見ていたい。こんな夜だから。

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