Another World

夜野 明

あらすじ【ネタバレあり】

 幼い頃の後悔から笑顔を失った女子高生・真波と、よく笑う氷の魔導士・ミランダ。

 スマートフォンのロールプレイングゲームで、真波が自分の分身として作り出したキャラクターが、ミランダだった。

 現実の世界とゲームの世界。そのどちらにも存在する老爺は、真波とミランダに同じ言葉をかける。

「君は、本当の自分を忘れている」


 息を飲むほど美しい森で目覚めたミランダは記憶を失っていた。記憶を取り戻すためには、四つ鍵を集め、森の頂上にそびえ立つ異形の城を目指さなければならない。

 森で出会う戦士はみんな鍵を求め、容赦なく襲ってくる。そんな中、二人の青年と一人の少年、チワワに似た一匹の恐竜と仲間になった。

 鍵に触れるたび、ミランダは真波の世界の映像を目の当たりにする。そこでは、ある火事が大きなニュースとなっていた。意識不明の重体となったのは、青年二人と少年、そしてチワワ。

 映像から、ミランダは仲間の裏切りに気づく。青年の襲撃によって少年が犠牲になると、現実の世界では火事で生死を彷徨っていた少年が息を引き取った。


 ミランダが四つ目の鍵に触れたころ、真波は修学旅行で来ていた北海道の雪山で遭難しそうになっていた。

 遠のいていく意識の中、真波は後悔を繰り返す。幼少期の真波は今と違ってよく笑う明るい性格だったが、家族で訪れた雪山で兄と遭難し、探しに出た父を死なせてしまった過去があった。


 目覚めたのは、息を飲むほど美しい森の中。老爺に教えてもらった自分の名前はミランダ。


 そこは、現実の世界で意識不明の重体となった者が堕ちる世界だった。あの世とこの世の狭間にある、もう一つの世界。

 この世界での死は、現実の死に直結する。現実で意識を取り戻すには、異形の城で待ち構える三つの試練に打ち勝たなければならない。


 四つの鍵を手にして記憶を取り戻し、自分が何者かを思い出したミランダは、生き返るために試練に挑む。

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