第2話 不思議な世界
新しく見える街……
何もかもがキラキラで少しモヤがかかっていたさっきまでとは違う
……うん
「ここは本当にワンダーランド?普通の街なんだけれど」
普通と言ってもなんだか外国の昔の街って感じ
今まで見たことの無い人達もいる
「ここはワンダーランドさ……でも 周りは私たちの事をアリスやその関係者だとは認識しないだろう」
訳あって今私はチェシャ猫と行動している
「何それ じゃあ私アリスじゃないじゃない…」
そう私はアリスじゃない
もっと大切な名前があったはず…なのに…
「思い出せないのよね…」
「アリス?」
「あー、大変他のアリスとはぐれちゃったわ…」
街に見とれていたのもあるけど 本当は1人になりたかっただけ
感覚的にはついさっきまで私が特別だった…夢の世界に入る度に唯一無二になれていた
けど今は 唯一無二が4人もいて この世界に閉じ込められたときた
なんだかどんどん頭が冴えて考えが止まらない…目が覚めた時みたいな感じ
……夢の中のはずなのに 頭はハッキリしていて……でも大切なことは思い出せない
記憶喪失でもこうはいかないはず
それに 思い出せない理由もあるはずなのよ
「こまったわ……」
「みんなとはぐれるなんてね…」
そっちでは無いのだけど……
「ゆっくりまわってみましょ そしたら見つかるわ」
…この街の外にも他の街があるのかしら……
なんて考えていると大通りの方から悲鳴が聞こえた
「なにかしら?」
「なんだろうね 行ってみようアリス!」
今日は不思議なことばかりおこるわ
……
「何あれ」
大通りの人々は口を開けて上を見上げる
それもそのはず色々なお店がある中にどデカい人間がひとつのお店をおしりで潰している
「何しているんですかアリス!!」
裸のデカい人間の横で小さな白うさぎが嘆いている
「いやぁああ!!みないでぇぇ!!」
騒いでいるのは……黄色のアリスのようだ
「一体何をしているんだ」
いつの間にか現れた青と緑のアリス
「クッキーを食べただけよ!!」
「うるさい!自分の身体の大きさを考えて声を出せ!」
「こんな大きさ考えられないぃ~!!うわぁ~ん」
大粒の涙が落ちてくる
大通りは大騒ぎだ
「ちょっと 小さくなる薬とか無いの?チェシャ猫!」
咄嗟にチェシャ猫に尋ねる
「あるよ、隣のお店にね」
隣のお店をみると小さな小瓶があった 店主は逃げ出したようだ
「拝借しましょう チェシャ猫 あのおバカさんの口の中に入れてきてくれるかしら」
「うん、いいよ~」
ふよふよと飛んでいき黄色アリスの口の中に薬をポタリと垂らす
「あれで足りるのかしら……」
不安に感じていると みるみる黄色アリスの身長が小さくなっていく
「も、戻ったぁぁ」
「さっきより縮んでいないか?」
「これが通常サイズじゃい!!……って服ちょうだい~!!」
白うさぎが代わりの服を取り出すと大通りに人が集まってきた
「いやぁ驚いたよまさかあんなに食べるなんて」
お菓子屋のおじさんが笑っている
「うちの薬を使ったのかい?お代はいいよ お礼だ」
薬屋の店主はありがとうと握手してきた
おかしな街お店を壊されたのに笑っているし商品を勝手に使ったのに怒らないなんて…
「君たち見ない顔だが名前は?」
アリス、そう答えようとしたらチェシャ猫に止められた
「ここではアリスと名乗らないでくれないか」
4人のアリスの耳元でそう言った
「……じゃあ何を名乗れって言うのかしら?」
「そもそも僕たちアリスじゃ呼びにくいから仮の名前を付けよう」
「そ、それいいですね…」
「じゃあ緑!色で分かりやすくアンタ
閃いた!と言った顔で黄色のアリスが言う
「はっはいぃ!それ…で…」
「じゃあ黄色、あなたキィでいいんじゃない?キィちゃん」
私のネーミングセンスが光る
「キィちゃん……!…悪くないじゃない…」
気に入ってくれたようだ
青のアリスが手を上げる
「赤、茜」
「いいわね それにするわ」
全員の視線が緑のアリスに集まる
「え、え?わたしが決めるんですか??!」
「みんな それぞれにつけたんだからそうなるでしょ!」
「は、はい…!えっと…青さんは…葵さん……で」
「それでいいよ…翠さん」
翠はほっとため息をつく
「で?皆さんのお名前は?」
おじさんが尋ねてくる
「葵」「翠…」「キィ!」「茜」
新しい名前に気分が上がり全員同時に答えた
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