第5話

それは幻でもなんでもなかった。彼は本物だっのだ。みとれていた。私はどのくらい彼を見つめていだろう。


「ほら、あんなのほっといて行くわよ」


「あっ、す、すいません」


不意に声をかけられびっくりした。声をかけてきたのは、彼の母親。彼女が息子を虐待していたのは知っていた。


(なんであんな美しい子を虐待できるのだろう)


私は腹が立った。そして、


(彼を救ってあげたい)


そんな気持ちと同じく


(彼を私だけのものにしたい)


そんな黒い感情が湧き上がってくるのがわかった。

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