第248話 三峰神社

 駐車場から階段を上って神社に向かう。


 大きな鳥居をくぐり、坂道を登っていく。

 やがて、左手に朱に塗られた門が見えてくる。


 参拝客は結構多い。


 門をくぐり、土の道を進んでいくと、右に石の階段があり、その先に本殿らしき建物が見える。


 色鮮やかな装飾に飾られた立派な本殿。

 山奥という事を忘れてしまいそうだ。


 参拝の列に10人くらい並んでいる。


 列に並び、進んでいく。

 階段を上っていくと、左右に大きな神木があることに気が付いた。

 巨大な杉の木。


 圧倒されるような存在感。



 その間の階段を上り本殿の前に来た。


 手を合わせ、祈る。


 参拝を済ませて、左に進むと社務所があった。

 お守りを授与してもらう。


 ”気”の大きな文字が書かれたお守り。

 いろんな色があるが、赤を選んだ。


 その後、周りの建物を見るとカフェの看板。

 境内にカフェ?・・・と思ってみてみるとその先にお土産屋さんらしき売店があった。


 ちょうどいい、お土産を見てみよう。


 この神社はオオカミはご祭神らしい。

 タオルやぬいぐるみなどなど。

 いろいろなものが陳列する棚に、並んでいたのは・・・


 日本酒や・・・ワインがあった。


”え?ワイン?だよね・・・”


 ラベルにオオカミの顔が大きく描かれたワイン。


 ただ・・・普通のボトルもあるが・・ハーフボトルもあるようだ。

 ハーフボトルならば、荷物は少なくて済む。


 ボトルを手に取ってラベルを見ると、ちゃんと”日本ワイン”と書かれている。

 ”秩父ワイン”と言うところで製造されているらしい。


 お土産にちょうどいいので、白ワインと一緒に日本酒も購入した。

 ついでなので、ワインは自分用にも購入する。


「さて・・・帰ろうかな」


 そう考えながら売店を出た時に案内版が目に入った。


”縁結びの木はこちら”


 ええ・・・?

 縁結びなら行かなきゃ・・・!


 砂利の道の先を矢印は示している。

 

 進んでいくと、ちょっと登り道。

 

”うーん、お土産を買うのを後にしておけばよかった”

 そう思ったが、仕方ない。


 しばらく歩くと、祠があった。

”縁結びの木”


 と札があったが・・どうやら、その上にある木がそれらしい。

 小さな鳥居がある。


”うーん、なにが縁結びなんだろう?”


 そう思いながら手を合わせる。


”いい相手が見つかりますように”


 まぁ、あちこちの神社で祈っているが相手は見つからないのだけれど。





 駐車場に戻る道。

 大鳥居をくぐった先にも、食堂兼お土産屋さんがある。


「いちおう見ておくか・・・」


 山口モータースに持っていくお土産は買ったが、職場用にいい物は無いかと見てみる。とはいえ、大きなものは運べないのだけど。




 その店の扉に書かれていた文字。


『秩父名物、わらじかつ丼あります』



 その、名物と言う文字を見て洋子は固まった。

 さっき、そばを食べたばかりである。

 しかも、揚げ物。カロリーが気になる年ごろ。




 でも、名物・・・食べるべきか・・・否か。



 5分間、その前で悩むことになるのであった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る