第80話 朝

気が付くと、カーテンの隙間から光が漏れていた。


そうか、いつの間にか寝てしまったのか。

昨日は瀬戸さんと鳥居平今村を飲んで、おいしくてついつい飲みすぎてしまった。


そういえば、瀬戸さんは・・・


そこで右腕の重みに気が付く。


寝室のベッドはセミダブル。

結構広い。


ギギギギ・・・

何とか右腕の重みの原因を見る・・

嫌な予感しかない。



予感は当たった。

右腕を腕枕にして、瀬戸さんが寝ている。


”しまった”

思わず、左腕で自分の体をチェックする。

よかった、服を着ている。


でも、怖くて瀬戸さんのほうはチェックできない。


これは、いわゆる朝チュンってやつなのだろう。

だが、焦りしかない。

服を着ているから、やってはいないよな?

でも、昨日の途中から記憶がない。


背中を嫌な汗が流れる。


心臓の音がいやにうるさい。


どうしよう・・・


やがて


ようやくと言っていい時間の後、うっすらと瀬戸さんが目を開ける。


「お・・・・おはよう?・・」

我ながら情けない声である。


すると瀬戸さんは、にへら・・と笑って、いやになまめかしい声で言った。

「おはようございます。早乙女さん。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る