第318話 18禁【完】

ローズとカイルは町の人達からそっと笑顔で見送られ屋敷へと帰ってきた。


「なんか…今日町のみんな変じゃありませんでしたか?」


ローズが町の人達の挙動を不審に思いカイルに聞いてみると


「そうかい?いつもあんな感じな気がするけど…」


カイルはよく分からないと首をかしげる。


「なーんかみんないつもより浮かれていた様な…なんか楽しい事でもあったのかな?」


ローズがうーんと考えているとカイルがムスッとしてローズを引き寄せた。


「きゃっ!」


ローズはカイルの胸に倒れ込むと


「な、なんですか!?」


驚いてカイルの腕の中から見上げた、そこには少し不機嫌そうに眉を顰めるカイルがいた。


「俺といるのに他の人の事を考えないで欲しいな…」


「えっ?だ、だって町のみんなですよ」


「それが?町民だろうがなんだろうが今は俺を見てよ…」


トサッとローズをそのままベッドに押し倒した。


「カイル様…まさか町の人達に…嫉妬…なんてしませんよね!だって町のみんなって言っても女性だし!」


ローズがまさかと自分の考えを笑い飛ばした。


「嫉妬する俺は嫌い?」


カイルは眉を下げて困ったようにローズを見つめる。


「えっ?…本当に嫉妬…ですか?女性に?」


ローズはカイルの表情をみて驚いた。


「ローズの目に映るもの全てに嫉妬出来るよ…ごめん…君の事好きすぎて…どうにかなりそうなんだ」


カイルがすまなそうに謝りローズの手を取ってその指先にキスをした。


ローズは指先のカイルが触れた部分が熱くなる…そしてその熱は胸にまで届いた。


「驚いた?」


カイルが恐る恐る伺うと


「どうしよう…」


ローズが困った顔をして胸を押さえるとカイルを熱い瞳で見つめる。


「嬉しい…そう思ってしまいました…」


そう言って恥ずかしそうに目を逸らすがその頬は赤く染まり表情からは喜びが溢れていた。


「くっ…無理…」


カイルはドサッとローズの横に顔を埋めて倒れ込んだ…


「カイル様?」


突然倒れたカイルを心配して声をかけると…カイルがそっとローズの方に顔を向ける。


その顔は熱っぽく目が潤んでいる…


「カ、カイル様…」


その表情に驚くと


「そんな嬉しい事を言って…どうなっても知らないよ…」


カイルからの熱い眼差しを受けてローズは一瞬驚くがすぐにその顔を破顔した。


「はい…」


ローズの笑顔にカイルは自重をやめた、本能のままにローズを求める。


「カイル…さ…ま…」


ローズの声に…


「カイルって呼んで…」


「カイ…ル…」


カイルは嬉しそうに笑うとその言葉ごと、ローズを貪った。





「はぁ…どうしよう…いつまでここに居ればいいかなぁ…」


その時ハルジオンは屋敷の広間にいた…本当はローズ様の部屋の隣接する部屋に待機していたのだがカイル様とローズ様が戻ってくるとすぐに部屋を出たのだ。


「今日は一日ゆっくりと二人にしてあげないと…カイル様ちゃんと指輪あげたのかなぁ」


きっと二人の事だから今頃部屋では仲良く指輪の事など話してるかもしれない…ハルジオンはそう考えていた。


「二人ともあんなに仲良くて羨ましいなぁ…それにしてもいつも部屋でどんな話をしてるんだろ?」


二人っきりになると結構長い時間話し込んでいる。


そんな時は邪魔をしてはいけないとスチュアートさんやクレアさんから注意されていた。


一度何をしてるのかスチュアートさんに聞いたら…


「ハルジオン様はまだ知らなくていい事ですよ」


にっこりと笑って頭を撫でられてしまった…きっとまだ私が仕える身として未熟だからだろう…


そう思ってしょんぼりすると…


「今度ローズ様に聞いてみようかな…それともクリス様に…」


ハルジオンは月に数回クリスと文を交わしあっていた…書くのはたわいもない身近であった事などだがハルジオンはそれを楽しみにしていた。


ハルジオンは立ち上がるとクリス様に手紙を書こうと自分の部屋へと急いだのだった…



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る