第237話証人
「ああ、お前の部屋の本棚の仕掛けに隠してあった書類だよ、あとは隠して通路にある部屋からも色々と出てきたなぁ…」
パラパラと何かをめくる音がする。
「これによるとお前は私がマデリンと婚約する前から関係を持っていたと書いてある…そしてマデリンと共に隣国にこの国の大樹をお土産に寝返ろうと考えていたんだろ?」
ボストンは顔を顰めると…
「あの野郎…その書類はちゃんと焼いて処分するように言っておいたのに…」
ギリッと奥歯を噛み締める。
「違う!そこに書いてあるのはデタラメだ!俺は騙されたんだ!全てはマデリンの考えだ!ちゃんと書いてあるだろ?あの女からの手紙だってあるはずだ!」
ボストンは必死に言い訳をすると
「では、その行為自体は認めるんですね…」
レスターが聞くと、ボストンは少し考えてコクリと頷く。
「だそうです…」
レスターはレイン国王を見ると
「確かにボストンの口から真実を聞いた…ではそこに散らばる真っ白の紙を拾っておいてくれ」
「えっ…」
ボストンは国王の言葉にキョトンとする…
「い、今真っ白な紙と?」
「ああ、レスターが見せたのは何も書いていないただの白い紙だ。だがお前は私の前でそれを認めた。もう言い訳は出来んぞ」
「ふ、ふざけんな!レスター!騙しやがったな!」
ボストンはレスターの声がする方に向かって唾を吐きならがまくし立てる!
「身に覚えがあるから認めたんだろ?」
レスターが笑うと
「だ、だが首謀者はマデリンだ!それだけは本当だ…どうする?離縁しても娘はどうだ?お前の娘の母親は犯罪者になるんだぞ!」
ボストンが笑うと
「あの子はお前の子だろうが…ボストン」
レスターがボストンに聞くと
「な、何を…なんの証拠があってそんな事を言っている…お前自分の娘にまでそんな酷い事を言うのか?」
ボストンが呆れると…
「遅くなりました!」
部屋に慌てた様子のクリスとガルムが駆け込んできた!
後ろには怯えるおじいさんと若いメイドを引き連れている。
クリス達は国王に頭を垂れていると
「だ、誰だ!」
ボストンが新たに来た人に怯える。
レイン国王はそれを無視してクリス達を見ると
「面をあげよ、話はレスターから聞いている。発言せよ」
国王の言葉にクリスは顔をあげると
「ありがとうございます。ちょうどいい話のタイミングでした!ですのでまずはこちらの方たちを紹介させて下さい。こちらの方はダミアンさんマデリン様の…あっもう様はいらないか!マデリンの専属医だった方です」
「えっ!」
ボストンがそれを聞いて慌てだす!
「そしてこちらはマデリンの娘のジュリアのメイドをしていたハルジオンさん、彼女は最近不当に解雇されたそうですね…そして彼女のお母様は長年マデリンのメイドを務めていたそうです…しかしある時から体調を悪くしてしまったそうで…今は寝たきりなので代わりに彼女に来ていただきました」
そう言って二人を紹介すると、レインは顔を上げさせる。
「ではダミアンさんお願いします」
クリスはダミアンに笑いかけると頑張って!っと口パクする。
ダミアンは国王を見つめると少し震えた…
「ダミアンとやら、発言する前にその言葉に嘘はないと誓えるか?」
「は、はい。誓えます…あの時の事をずっと悔やんでおりました…今その話をこうやって懺悔できる機会を与えてくださったクリス様と陛下に感謝致します」
ダミアンはうっすらと涙を浮かべるとあの日の事を語り出した…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます