第221話脱走

男が部屋から出ていくと…


「ローズ!あんなやつの言う事を素直に聞くなよ」


バルトが名前を教えた事を怒っている。


「うん…でもなんかあの人、悪い人じゃ無いような気がするんだよね」


ローズが男の出ていった扉を見つめると…おもむろに立ち上がり扉に近づくが…


ガチャン!


取っ手にあと少しで手が届きそうな所で足枷の鎖が邪魔をする。


「と、届かない…」


プルプルと手を伸ばすが指先が触れるか触れないかのギリギリだった。


バルトがその横をトコトコ歩くと扉に手をかける…


すると…キィーと扉が開いた!


「開いてる…」


バルトはすぐにローズの足枷をガリガリと噛むがビクともしない。


「バルト、やめて!バルトの歯が無くなっちゃう!私はいいからバルトは先に逃げて、あいつらの狙いはバルトなんだから!」


ローズはバルトを足枷から離すと扉に向かってバルトを放った!


「何をする!」


バルトはぐるっと向きを変えて着地すると


「行って!私は何とかする!バルトはみんなを…王子やカイル様にこの事を伝えて!」


「くそ…」


バルトはローズと一緒にいようかと迷っていると…誰かが近づく足音が聞こえてきた。


「早く!」


ローズが急かすと…


「待ってろよ!絶対に誰か連れてくるから!」


バルトは足音とは反対方向に駆け出した!


「うん、それでいい…」


ローズはほっと息をつくとドサッとベッドに座り込む。


その足からは血が滴り、立っているのも辛かった。


でもあそこで弱音をもらしたら絶対にバルトが逃げてくれないと思い踏ん張って我慢していた。


トントン…


軽く扉をノックする音にローズはビクッと跳ねると


「いたっ…」


足枷の付いた足を押さえる。


「大丈夫?」


そこにはガブリエルが何か食べ物を持って心配そうに立っていた。


「あれ?カーバンクルは?」


キョロキョロと姿の見えないカーバンクルを探し部屋を見回すと


「ちょ、ちょっと部屋の隅に…隠れてます」


目を泳がせながらローズが言うと


「あっそう?」


ガブリエルは気にした様子もなくローズに近づくと


「はい、少しだけど食べて」


食事を乗せたトレーをローズに渡す、そこにはスープと小さいパンと果物が一つ置いてあった。


ローズは反射的に受け取ると、ガブリエルはローズの足元にかがみ込む…


「えっ?」


ローズはしゃがんだガブリエルを見ると、ローズの怪我した足を確認していた…


「あーあ…無理したね。全くこんなの付けてるのに思いっきり引っ張ったでしょ?」


ガブリエルがローズの足をそっと触ると…


「いたーい!」


ローズが大きな声で叫び出した!


「ちょ!ちょっと!」


ガブリエルは思わずローズの口を押さえると…勢い余ってローズをベッドに押し倒す!


「なんの音だ!」


その様子に他の男達が様子を見に来ると…


「おいおい、何してるんだよ。そういうのは仕事が終わってからのお楽しみだろ…」


そうは言いながらもニヤニヤと笑って押し倒されいるローズを見下ろしている。


倒れた拍子にまくりあがったスカートからスラッとした足が顕になっていた。


男達はそっと近づくとローズの足を触ろうとすると…


バサッ!


ガブリエルが立ち上がりながらスカートを戻した。


「おい、まだ駄目だろ?」


ニコッと笑いながらもローズに近ずけさせまいと前に立つと


「自分だけ狡いぞ…こういうのはみんなで楽しむもんだろ…」


男達もガブリエルを睨みつける。


「俺は事故だよ。倒れただけだ、まだなんにもしちゃいないよ」


ガブリエルは両手をあげてアピールすると


「今はそれどころじゃないだろ?ほら、もう部屋から出よう…」


ガブリエルが男達を追い出す様に部屋から出すが、男は部屋を出る際にもう一度ベッドに座るローズを舐め回す様に見つめた。

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