第214話清掃中

スチュアートとカイル、クリスは捕まえた男の元へと急いだ!城門にはカールが不安そうにカイル達が来るのを待っていた…


「カール!あの男は何処に!」


カイルがカールに聞くと


「すみません…実は先程大臣の私兵の方が来て預かると連れて行ってしまいました…」


カールがすまなそうに肩を落とす。


「大臣?何処のやつだ!」


「あの紋章はボストン大臣かと…できる限り時間を伸ばしてどうにか粘ってここに足止めしていたのですが…」


「何やってるんだ!」


カイルがカールに当たり散らすと


「カイル様気持ちはわかりますが、カールさんにはどうする事もできませんでしたよ…彼に出来ることをしてくれました」


「スチュアートさん…すみませんでした。お二人の様子から重要な人物だと言う事はわかったのですが…ですが連れていったのは王宮の地下牢ではありません!どうやら直接尋問室に運ぶと言っておりました!」


「わかった…カールすまなかったな」


カイルかカールの肩を叩くと


「いえ、私の方こそ申し訳ありません…カイル様がそこまで取り乱すと言う事はローズ様が関係しているのですね…」


カールは心配そうにカイルを見つめた…


「カールもうひとつ頼む、城下にあの男と同じ輩を捕らえてある。そいつらを私兵の奴らより早く確保しておいてくれ。下っ端の奴らだから多くの情報は望めないかもしれないがいないよりマシだろう」


「わかりました!カイル様の部隊兵へ知らせて来ます!」


カールは城門を同僚に任せると急いで城下へと走った!


「我々はとりあえず尋問室へと向かいましょう!」


「はい、クリスはロイ王子を呼んで来てくれるか?大臣がいるのなら王子がいてくれた方が心強い」


「わかりました!」


クリスとカイル達は別れるとクリスはロイの元へ、カイル達は尋問室へと走った。



尋問室の前に来るが、そこにはもう大臣は愚か私兵の姿も数人しかいなかった…


「おい!ここに連れてきた男はどうした?」


カイルが尋問室の前にいた兵士に話しかけると


「先程尋問が終わりました…男は口を割らずに自害致しました」


顔色も変えずに淡々と報告される…


「自害だと…」


「それはどういう事でしょうか?尋問で自害させるなど…有り得ません。どんな素人が手を出したのですか?」


スチュアートさんが横から口を出す…口調は丁寧だが、顔は笑っておらずじっと兵士を見つめていた…


「わ、我々はここの警備をしていただけなので…」


兵士はサッと顔を逸らすと


「あとは何も知りません…」


口を閉ざしてしまった。


「まだ遺体は中にありますか?」


スチュアートとカイルは返事も待たずに中に入ろうとすると


「ま、待て!」


兵士が慌てて止める!


二人は制止を振り切って扉を開くと…中は壁に血が飛び散っていた…


「…これはどういうことでしょう?」


仲を片付けていた男達がスチュアートとカイルに驚いて手を止める…


「な、なんだいったい…」


「すみません、止めたのですが無理やり中に…」


兵士が声をかけると


「ここはまだ清掃中です。尋問室なら違う部屋をお使い下さい…」


兵士がサッと立ち上がり何かを隠すと…


「今後ろにあるそれはなんですか?」


スチュアートが布に包まれたものを指さす。


「あの男か?」


カイルは兵士達を退かすと中身を確認した。


「うっ…酷い」


スチュアートも覗き込むと…


「どうもおかしいですね…自害したとお聞きしましたがこれはどう見ても拷問のあとの様に見えます」


男は体中傷だらけになり首がパックリと割れておりどう見てもそれが致命傷に見える。


「どういう事が我々が納得出来る答えを言ってもらいましょか?」


スチュアートとカイルは兵士達を睨みつけた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る