第175話打ち合い

ローズとクリスは向かい合うと…


「「よろしくお願いします」」


同時に礼をする。


顔をあげると同じように剣を構えた。


「いいクリス!やるからには手加減なしよ」


ローズが声をかけると


「わかっています。そんな事をすれば父さんに怒られるもんね」


クリスの言葉にローズがニヤッと笑うと


「では、はじめ!」


スチュアートさんが合図を出した。


先に仕掛けるのはローズだった、一瞬で間合いを詰めてクリスに近づく!


「速い!」


見ていたスティーブが驚いていると…


「ローズ様は軽い分、身のこなしが速いですから」


隣でスチュアートさんが淡々と説明する。


「で、でもあの方…さっきまでドレスを着ていたご令嬢ですよね」


スティーブがローズの動きに驚く中クリスは…ローズの動きを読んでか後ろに飛ぶとサッとローズの攻撃をかわす。


「クリスもなかなかやるな…」


スティーブがほぅと関心しているとローズの流れるような攻撃が続く!


「間髪空けずに打ちますね!」


「ですがクリス様も全て避けてますね…本当に文官ですか?」


スチュアートさんが驚いていると


「クリスは相変わらずいなすのが上手いね!腕も鈍ってないみたい!」


ローズが打ちながら嬉しそう笑うと


「姉さんは令嬢みたいになってたから大人しくなったと思ったのに、相変わらずの腕前ですね…しかも腕上がってませんか?」


クリスが苦しそうに交わしていると


「師匠がいいからかな?」


ニコッと笑うと屈んで足をくるっと回しクリスの足を引っ掛ける。


「わっ!」


クリスはバランスを崩すがすぐに立て直してローズから距離をとった!


「姉さん足技まで使うの?」


クリスが抗議すると


「ごめん!なかなか当たらないからつい、剣舞の練習ばっかりしてたから体が…」


ローズが笑うと


「剣舞までしてるの?そっちは無しでお願いします」


クリスは苦笑するとくっと顔を引き締めて…


「じゃ僕も少しは反撃しないと…」


ローズ目掛けて剣を突き刺した!


「あの二人…なんなんですか…」


楽しそうに剣を打ち合うローズ達をスティーブは唖然と見つめている。


「令嬢と…文官ですね」


「あれなら騎士にもなれますよ!俺でも…苦戦しそうです」


スティーブが剣を握りしめる。


「姉弟でこられたら負けそうですけどね」


スチュアートさんが意地悪そうに笑うと


「うっ…スチュアートさん!俺と打ち合いませんか!?」


スティーブがローズ達を見て体が疼くと


「そうですね…私も少し動きたくなりました。ローズ様達は本当に楽しそうに打ち合いますからね」


スチュアートとスティーブはローズ達から少し距離を取ると隣で打ち合いを始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る