第148話本来の姿

スチュアートさんとクレアさんはレイン陛下に驚く事なくお茶の準備を始める。


スチュアートさんが入れてくれたお茶を出されるとレイン陛下とフリード様が美味しそうに飲む姿をみて


「ローズ様もどうぞ」


スチュアートさんに促され…もういいやとローズもスチュアートさんのお茶を楽しむ事にした。


疲れた体に美味しいお茶が染み渡る…


「フゥ…」


ローズの強ばった肩がほぐれると


「じゃあ改めて紹介をさせてもらおうかな?ロイの父親のレインだ」


「じゃあロイの祖父のフリードだよ、レインの父でもある」


レイン様とフリード様が笑いかけると


「ロ、ローズと申します!その節は知らずに失礼な態度をとってしまい申し訳ございませんでした!」


ローズが勢いよく頭を下げると…


「フリード様…お金は…その…もう少し待っていただけないでしょうか…必ずお返ししますので…」


チラッとフリード様を見ると…キョトンとした顔でローズを見つめる。


「なんのお金だい?何か貸したかな?」


フリード様が首を傾げると…


「あの…芋煮の…」


「あ~あれか、あれは正当な報酬だから返す必要なんてないよ。それにとても親切に対応してくれたしね」


フリード様が笑うと


「しかし…あんなにたくさんはやはり貰いすぎだと…」


「ならまた作ってくれるかい?あの味中々王都では食べられなくてねぇ…懐かしくてまた食べたくなってしまって」


「は、はい!それなら喜んで!私の作ったもので良ければ」


「楽しみにしているよ」


フリード様の言葉にローズはひとつ肩の荷がおりた気がした。


すると今度はレイン様が


「父上もあっていたんですか?」


ローズとの会話に呆れていると


「もって事はお前のかい?」


フリード様がレインとローズを交互に見ると


「は、はい!…夜の厨房で…レイン陛下もその節は申し訳ございませんでした」


またもや謝ると


「いや、あの時は私も世話になったからね。まさかバルトくんが魔物だとは気が付かなかったなぁ~」


「魔力を消していたからな、俺達は隠匿が得意だから…」


「そうか…それはすまなかったね。今度からはそれも必要なくなるだろう」


レイン様が笑ってバルトに手を伸ばすと…バルトはスっと避けてローズの肩に逃げる。


「あの時は触らせてくれたのに…」


残念そうにバルトを見つめると


「あの時はローズに変な疑いがいかないように仕方なくだ…もう隠す必要がないなら触らせる必要もないからな」


バルトの言葉にレインは残念そうに手を下ろした…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る