貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

第128話ジュリアのお茶会

「本日は私ジュリア・アンダーソンが開催するお茶会にお越しくださりありがとうございます。心ゆくまで楽しんで行ってくださいませ」

真っ白な生地に金と銀の刺繍が豪華に入ったドレスをまといジュリアはお茶会に出席した方々に優雅に挨拶をする。

「さすがアンダーソン伯爵の御息女ですね。何処を見ても素晴らしい限りですわ！」

一人のご婦人がジュリアを褒めると…

「ありがとうございます。パーソン様もそのドレスとてもお似合いで素敵ですね」

ジュリアがニッコリと笑うと

「わかりますか？これ特注品ですの！主人がこの日の為に用意してくださいまして…」

自慢するようにパーソン伯爵夫人はドレスを見せながらぺちゃくちゃと喋っている。

ジュリアはニコニコと笑いながら…

(ばばあが何を着ても同じなのよ！せっかくのドレスが勿体ないわ…ドレスが良くても中身がね…)

クスッと馬鹿にするように笑うと一際美しい夫人と目があった…

ジュリアはサッと頭を下げると…

「王妃様も本日はありがとうございます。なんなりとお申し付けください。うちのメイド達は本当に優秀ですから」

ニコッと微笑むと…メイド達は顔色を変えることなく頭を下げた。

「まぁ！本当によく出来た従者達ですね！」

「さすがアンダーソン伯爵家に仕えてるだけはあるな」

他の人達も感心していると…

「では…私は甘くない物をいただきたいな」

一人の御老人が声をかけた…ジュリアはきたかとニヤッと笑うと…

「はい、甘くない物ですねフリード様」

ニッコリと微笑むとメイドに声をかける。

「例の物を…」

こっそりと指示を出すとメイドがうなずいて何かを持ってくる。

「ではこちらを甘さ控えめに作らせたカップケーキです」

「ほぉ…さすがアンダーソン大臣の娘さんだね。甘くない物と頼んでサッと出てきたのは君が初めてだよ」

ニコッと笑いかけると

「恐縮ですわ…」

ジュリアは深々と頭を下げた。

「まるでそう言う事を言われるとわかってたようだね」

フリードはニコニコと笑って言うと

「ええ…どんなご要望にも応えられるようにと前もって考えておりました」

ジュリアも顔色を変えることなく微笑み返した。

「ジュリア嬢の前にお茶会をしたお嬢さんは狼狽えてお茶をこぼしたりしてましたよね」

他の人達も感心してジュリアを見ていると

「じゃあそんな君にもう一つ…今度は君が今まで食べた中で一番美味しかった物を頼むよ」

「えっ！？」

ジュリアは声をあげてしまい思わず口を抑える。

「どうしたんだい？甘くないお菓子が用意できたんだ、これくらい用意できるよね？」

フリードは皺を寄せてニッコリと笑うと

「す、少々お待ちください」

ジュリアはどうにか体裁を整えると頭を下げて従者達の所に向かった！

「あなた達！急いでシェフを呼びなさい！」

「シェフですか？」

「なんでもいいから早くしなさい！」

従者達が慌てて呼んでくると…

「お嬢様…何か料理に問題でも…」

シェフ達が顔色を悪くして頭を下げると

「そんな事はどうでもいい！今から一番美味しいお菓子をすぐに作りなさい！自分が一番だと思うものよ！急いで！」

「で、ですがお嬢様…今からですと…時間が」

「そんなの知らないわ！短い時間で作れて美味しい物を持ってきて！何か粗相があればあなた達の首を跳ねるからね！」

キッと睨むとジュリアは席に戻っていった…

残されたシェフ達は顔を見合わせると急いで厨房へと向かった。