貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

第112話お茶菓子

無事いつも通りの朝食をすませると…

「ではローズ様今日は外には行かずに部屋で大人しくお願いしますよ」

「はい！大丈夫です！今日はクレアさんにも手伝って欲しい事が…」

ローズがクレアさんを見つめると…

「私ですか？」

「はい、今日はお茶のお菓子を決めようと…大体の作るものは決めているのであとは何度か作って味を見ようかと…」

「そうですね、お茶会まであと数日ですからそろそろ準備を整えておかないと…」

「はい。食器類はキャシーがくれた物を使うとして…あとはお茶とお菓子の準備と…もう一つ何か作ろうかと…」

「そうですね、お菓子は日持ちする物が良いかと思います。ローズ様が全て作るのですから前日に作っておくしかできませんからね」

「はい、いくつか考えておきました！」

「ではそのお菓子を今日は仕上げるのですね」

「はい！クレアさんにおかしなところがあればご指摘して頂きたくて…」

「わかりました！まだ本番ではないですから手伝っても問題ありませんからね！ビシビシいきますよ！」

「よ、よろしくお願いします！」

ローズはクレアさんと厨房へと向かった。

厨房に着くと…

「すみません。ちょっと厨房を貸して頂けますか？」

クレアさんが声をかけると

「あれ？またクレアさんですか？」

料理人が声を聞いて振り返ると

「皆さん朝はお騒がせしてすみませんでした…」

クレアさんの後ろからローズがペコッと頭を下げる。

「ローズ様！」

「えっ？ローズ様？」

料理人達が集まってくると…

「どうしましたか？まさかお腹が痛くなったとか…」

「やはり作りすぎました？すみません…調子に乗ってローズ様なら食べられかといつもより多めに…」

料理人達が心配そうにしていると…

「いえ！いつも美味しいご飯をありがとうございます！今朝のご飯も凄く美味しくて…本当に困ります…」

ローズがお腹をさすって苦笑すると

「な、何が困ったのでしょか…」

「だって美味しすぎて食べ過ぎちゃいますから…」

本当に困ったように笑うと…

「それは…何よりも嬉しいお言葉です」

料理人達が頭を下げた…

「それで今日はなんのご用事で？」

「それが今度のお茶会でお菓子を作ろうと思っていて…その練習をしたいのでここを少し使わせて貰えれば…」

ローズが頼むと

「えっ…ローズ様がご自分でお作りになるのですか？」

驚いてクレアさんを見ると、こくんと頷く。

「我々がお手伝い致しましょうか？」

「いえ…私皆さんを雇うお金が無くて…なので自分で作ればタダですから！」

「そんな…ローズ様のお手伝いにお金など…」

「皆さんのお気持ちは嬉しいです…でも大丈夫です！こう見えても食べるのも作るのも好きなので！」

やる気を見せて腕まくりをする。

「皆さまの気持ちは痛い程わかります…でも下手に手を貸すと色々と問題がありまして…私もお手伝い出来ないのが本当に歯がゆいです…」

クレアさんがため息をつく…

「クレアさんも手伝えないとは？」

料理人達の疑問に手伝えない経緯を話すと…

「そうですか…下手に手を貸すと後々問題にされてしまうのですね…」

「はい、でもそれならもういっそ全部一人でやってやろうと！」

ローズがニヤッと笑う。

「では我々もローズ様が作るのを見てご指摘ぐらいはできると思いますので…」

料理人達が頷き合う。

「わぁ！それは嬉しいです！皆さんの意見も聞けたら百人力です！よろしくお願いします！」

ローズは料理人達に頭を下げた。