172bit もはや合宿じゃない
あまりにタイミングのいいハジメとシズクの登場に、糸はキョトンとしてしまった。
「ん? 糸っちどうしたんだ? ……もしかして最近全然会っていないから私たちのこと忘れちゃった?! ハジメだよハ・ジ・メ。 ちんちくりんの生みの親」
「ハジメさん、聞き捨てなりませんね」
『ちんちくりん』というワードに敏感に反応した糸はすっかり元の表情へと戻る。
「それにしても、あたかも雛乃ちゃんのセリフを聞いていたかのような受け答え……どうして……」
「えーっと、それはねー」
「あーーーー!! はいはい! みんなはここで合宿がしたいんだよね?! 私たちはまったくもって大歓迎だよ!」
糸の疑問に答えようとした雛乃の声をかき消すように、ハジメが大声を出した。
「ハジメさん……なんで挙動不審なんですか……。 でも、ここにはお風呂もないし、布団もないですよ?」
「大丈夫です糸さん。 お風呂は各自、家で済ませてきてもらうとして、お布団も何とか調達してみせます」
穏やかな笑顔でそう言ったのはシズクだった。
「それにみなさんの美しい寝顔も……」
「あーーーー!! シズクはしゃべり過ぎないでねーー!? と、とにかくMANIACのみんなで親睦を深めるためにも合宿は大賛成だし、我々も全力でサポートするから安心して実施してくれたまえ―」
「な、なぜだろう……安心できない……」
終始怪しい言動を繰り返すハジメに、糸はどこか不信感を抱いてしまう。
でも、ハジメさんとシズクさんがそこまで言うならここで合宿できるのかな。
雛乃ちゃんが口にしていた『目的』の内容も少し気になるし。
それに何より、みんなとお泊り会ができる……!
「糸、顔がにやけてる」
「ひゃっ?! 私そんな顔してた?!」
真衣に指摘され、恥ずかしくなった糸は頬を赤らめた。
「みんなで合宿、なんだかとてもワクワクしてきたよ」
英美里もにこやかな表情をみせている。
「よぉし! そうと決まればさっそく予定を決めちゃおう! 記念すべき第一回MANIACパジャマパーティー!!」
「雛乃ちゃん、ますます合宿から遠ざかってる」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます